多読多聴で中国語を習得、レベル別学習方法と教材の選び方 中級者編

2021年8月17日 16:58

印刷

 前回は、学習を始めてから半年くらいまでの初級者を対象に、多読多聴による中国語学習方法と教材の選び方について説明した。

【前回は】多聴多読で中国語を習得、レベル別学習方法と教材の選び方 初級者編

 今回は、中国語学習を始めてから半年ほど経った中級者の教材及び、学習方法について紹介したい。

■1. リスニング学習はCCTV(中国中央電視台)の中国語学習番組を活用

 多読多聴学習で、最も重要なのは「自分のレベルに合った素材」、「興味関心が持てる素材」を選ぶことだ。効率的に学習を進めるためには、最適な素材を探すことが、最重要課題なのだ。

 インプット仮説を唱えた言語学と教育学の専門家であるスティーヴン・クラッシェン氏は、「理解可能なインプット(Comprehensible Input)こそが最も大事」と述べている。そして、現在の言語習得レベルを「i」、それより僅かに高いレベルを「i+1」とし、「i+1」の理解可能なインプットが最も効率が良いと説明した。

 今のレベルを下回る教材では復習は可能だが進歩は望めない。今のレベルよりも極端に上回るものでは、辞書を引いてばかりで語学学習が無味乾燥になる。学習を苦痛に感じ、自信を無くし、二重に害がある。

 学習をスタートしてから半年の時点で無理なく楽しく多聴を進められる教材としておすすめなのが、「万里海疆快楽行」という番組だ。CCTVで以前放送されていた中国語学習番組で、中級レベル以上の外国人を対象としている。

 アメリカ人の男性と中国女性のアナウンサーが中国の各地を訪れ、観光スポットを紹介し、ポイントごとに例文と英訳で語彙、文法、構文を説明する。よく使う言い回し、頻出単語、重要な文法、成語などについて、番組全体を通してバランスよく学べるように工夫されている。学習方法の詳細は下記の記事を参考にしてほしい。

CCTVの中国語学習番組「万里海疆快楽行」で、楽しく効率的に中国語を学ぶ方法

■2.多読には中国3大ポータルサイトを活用

 学習をスタートして半年が経過したころから、多読のウエイトを増やしていきたい。多読はいつでもどこでも学習が進められ、教材も手に入りやすい。読書好きな人にとっては、語学レベルが上がるにつれて、学習の時間がどんどん楽しくなる。

 語彙力が1000語程度に達した学習者に紹介したいのが、中国3大ポータルサイトの活用だ。

・搜狐
https://www.sohu.com/

・腾讯网
https://new.qq.com/

・新浪
https://news.sina.com.cn/

 3つのポータルサイトは、さまざまなジャンルの記事配信がメインになるが、それぞれ特徴がある。「捜狐(ソウフ)」はスポーツ系の動画配信に強い。「腾讯网(テンセント)」は、QQや微信アプリからの誘引もあり、若い世代の利用率が高いようだ。「新浪(シナ)」は、ニュース、スポーツ、経済に関するコンテンツに人気があるようだ。

 3大ポータルサイト以外にも、「今日头条」などは、エンターテインメント性が高く、楽しく読めるのでおすすめだ。日本文化や日本人を評する記事も多いので、日本人が興味関心を持って読めるであろう。

・今日头条
https://www.toutiao.com/

 ポータルサイトの活用が、まだ少し早いと感じる人には、中華網(China.com)漢語学習のページ「ニュースで中国語を学ぶ」を試してみよう。日本語訳文も付いているため、辞書を引く手間が省ける上、答え合わせができる。詳しい学び方は下記の記事を参考にしてほしい。

理想の中国語学習ツール、ニュースサイト「中華網」の漢語学習ページを活用する

 読書は国語の力を伸ばす最良の方法であり、すべての学習の基本である。外国語学習でも同じことが言える。ただ、外国語の文書を理解するには、語彙、文法、文化の違いという障壁を乗り越えなければならない。無理は禁物、まずは、自分のレベルに合った楽しいと感じる教材を探すころから始めたい。(記事:薄井由・記事一覧を見る

関連記事