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OPECプラス合意で原油価格はどうなる?
●交渉が難航していたサウジとUAEが合意
ロイター通信などの報道によると、OPECプラスは18日に開催した閣僚級会合において、協調減産を8月から12月まで、毎月日量40万バレルずつ縮小することで合意したという。減産の延長をめぐって対立していたサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)が歩み寄った。
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この報道を受けて、WTI原油先物は2%下落した。
●サウジアラビアとUAEの対立
UAEは、他国よりも減産比率が高くなっていることに不満を抱き、サウジアラビアが提案していた減産規模に反対していた。そのため、協議は中断を余儀なくされるなど、難航していた。
減産枠に不満を示しており、生産枠の引き上げを主張していたUAEに歩み寄った形となったが、OPECプラスは2022年4月までとしていた協調減産合意を、2022年末まで延長することでも合意した。
●今後の原油の行方は?
合意により供給面の安定という好材料はあるが、一方で需要面への不安がある。米国の原油在庫は8週連続で減少しているが、ガソリン在庫は増加し、ディーゼルと共に需要が減少していることが懸念されている。
石油製油所は高い稼働率を維持していることから、夏休みのドライブシーズンに向けて、好調と見られていた。
新型コロナのデルタ株感染拡大も懸念材料となっており、好調なガソリン需要に慎重な見方もある。
イランの制裁が解除されると、生産量は日量150万バレル増えると予想されており、供給面が再び不安定になることも警戒されている。対米強硬派の新大統領が就任したイランと米国との緊張も予断を許さない。
今後はハリケーンが襲来することも予想され、生産施設が閉鎖されるような事態になれば、再び原油価格が高騰することもあり得る。
原油高になれば、日本などの輸入・消費国にとっては家計の負担増となり、景気への悪化は避けられない。米国ではインフレへの懸念も付きまとい、FRBは一時的な現象としているが、長期化するという観測もある。
減産合意はまとまっても、原油価格にとっては波乱要因が尽きない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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