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KOAの収益動向に、製造業の立ち直りを実感
KOA。抵抗器(電流を安定化&強弱化をはかる電子部品)でトップ。固定抵抗器では世界首位級。70%を国内生産。自動車向けに強い。そんなKOAの収益動向に、自動車生産を軸にした製造業の立ち直りを感じ取ることができる。
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前3月期は「0.7%増収、58.1%営業増益」と、2020年3月期の「10.5%減収、74.2%営業減益」から立ち直った。今期計画は「コロナウイルス問題に伴う経済活動動向の合理的判断が困難」とし通期計画は見合わせたが、第1四半期の予想は前年同期比「36.4%増収(149億4000万円)、161.4%営業増益(10億円)」とした。要はこういうことである。
「前期は売上面では後半から自動車向け需要が急回復、利益面では固定費削減努力が奏功。が(世界)景気動向には、変異株発生のコロナウイルス感染の再拡大など不透明感が依然強い。自動車生産に関しても半導体不足の影響から慎重な見方をせざるをえない。よって通期計画は・・・」。
だが株価動向からみる限り、KOAの収益増勢は予測されていると言える。適宜な上下動を挟み1月に1739円まで買われた後2月終盤には1424円まで整理が進み、本校作成中の時価は1600円台前半。IFIS目標平均株価2200円。
ところで私も「●●社は好財務体質」と、さらりと書き飛ばしてしまうケースが多い。が、過日若手記者に「なにをもって好財務体質企業と言うのか」と問い返された。勿論、根拠なくして記しているわけではない。正確を期すなら私は以下の3点から、その根拠を見出している。KOAに当て嵌めながら記しておきたい。
・粗利益の高さ: 売上高総利益(営業利益÷売上高×100)÷売上高×100。KOAの前期の場合は、「(23億1700万円÷503億7800万円×100)÷503億7800万円×100」。
・自己資本比率: 業種によっても異なるが、総じて30~40%以上の企業は「倒産リスクが低い」と判断される。KOAの場合、前期末で75.6%。
・流動比率: (流動資産÷流動負債)×100。(435億7800万円÷124億2100万円)×100。
いずれもその多寡が判断対象となるが、自己資本比率が示すようにKOAはまごうことない「好財務体質」企業。ちなみに本校作成中の時価に対する予想PBRは、0.99倍。好財務企業:KOAの株価が「解散価値」にも届いていないという現実をみると、割安感を覚えるのは私だけだろうか!?(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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