東洋インキ、新時代の生活文化創造により成長を目指す

2021年7月14日 17:27

印刷

 東洋インキSCホールディングスは7月7日、新たにUVオフセットおよびグラビア印刷用の抗ウイルスニスを開発したと発表した。

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 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、各種印刷物に対し衛生性を付与したいという要望が、食品・日用品メーカーや印刷加工会社から多く寄せられていたという。新たに開発した抗ウイルスニスは、抗菌製品技術協議会が制定する抗ウイルスマークを取得しており、業界で初めて新型コロナウイルスに対しても不活性化に効果があることを確認している。

 東洋インキは、1896年に東京都で小林インキ店として、小林鎌太郎により創業された。高品質な国産インキの一貫生産を開始し、1907年に「東洋インキ製造株式会社」へ改組し、インキ顔料からの一貫生産を始めた。

 1951年、米インターケミカル社と提携し、合成樹脂型インキ、顔料捺染材、金属塗装剤、接着剤へと進出。1961年に東京証券取引所2部に上場、1967年1部に指定替えになった。2011年、グローバル化の進展を見据え、持株会社として現在の社名へ変更した。

 2020年12月期の売上高は2,577億円。事業別の構成比は、パッケージ事業が25.8%、印刷・情報事業が25.5%、ポリマー・塗加工事業が24.2%、色彩・機能材事業が23.9%、その他事業が0.6%を占める東洋インキの動きを見ていこう。

■前期(2020年12月期)実績と今期見通し

 前期売上高は2,577億円(前年比7.9%減)、営業利益は前年よりも3億円減の129億円(同2.0%減)であった。

 営業利益減少の要因としては、印刷インキ、自動車塗料の低調により色彩・機能材が8億円、コロナ禍による東南アジア事業活動の停止によりポリマー・塗加工が1億円、情報系印刷物の縮小により印刷・情報が1億円、退職給付費用の増加などでその他が2億円の減益であった。

 一方、すごもり需要の好調な家庭用食品、衛生用品向けのパッケージが8億円の増益となった。

 今期第1四半期(1-3月)売上高は684億円(前年同期比7.8%増)、営業利益35億円(同17.4%増)実績の中、今期は売上高2,700億円(前年比4.8%増)、営業利益140億円(同8.4%増)を見込んでいる。

■中期経営計画(2021年12月期~2023年12月期)による推進戦略

 新時代に貢献する生活文化創造企業として、2023年に売上高3,000億円(対前期比16.4%増)、営業利益220億円(同70.5%増)を目指して次の戦略を推進する。

●1. 戦略的な高収益事業群の形成と低収益事業の再編による収益力の強化

●2. 各事業部門の研究所開設による、環境・DX・ライフサイエンスに対応した重点開発領域の拡大と創出。

●3. 事業別の推進戦略

 ・パッケージ: バイオマス、リサイクルなど環境調和型パッケージ拡大と東南アジア市場の重点強化。

 ・印刷・情報: コロナ対応のUVインキ、オフセットインキの拡大と包装用途、工業向け機能性インキの強化。

 ・ポリマー・塗加工: 機能性フィルム開発など5G市場でのポジッション確立。貼付型医薬品などメディカル製品群の育成。接着剤のグローバル展開。

 ・色彩・機能材: EVリチウムイオン電池関連材料の開発強化。プラスチック着色剤の拡大。

 生活者・生命・地球環境の課題解決に貢献する企業グループを目指す、東洋インキの動きを見守りたい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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