そもそもパパ育休って何? どれくらい休めるの? ぶっちゃけお金は大丈夫? ー育休への不安・疑問を解消し、日本のパパ育休をアップデート!(連載第1回)

2021年5月30日 17:19

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記事提供元:biblion

 (連載第1回)日本ではまだ数パーセントしかいない、男性の育休取得者。でも、いま確実に育休をとる男性が増えています。なぜでしょうか? 本連載は、書籍『なぜパパは10日間の育休が取れないのか?』から、パパたちが育休と向き合うことでどんなことを考え、感じ、乗り越えてきたのか、実際のSTORYとあわせてお伝えします。本連載は7回を予定しています。ご興味いただけた方は記事最後に紹介している書籍『なぜパパは10日間の育休が取れないのか?』もぜひご覧ください。

そもそもパパ育休って何? どれくらい休めるの? ぶっちゃけお金は大丈夫? ー育休への不安・疑問を解消し、日本のパパ育休をアップデート!(連載第1回)

 本連載は、書籍『なぜパパは10日間の育休が取れないのか?−家族も、自分も、会社も、みんなが幸せになる育休の取り方・過ごし方・戻り方−』(2021年4月発行/著者:成川 献太、パパ育休2.0プロジェクトメンバー)の一部を、許可を得て抜粋・再編集し収録しています。

著者:成川 献太

著者:成川 献太広島県で小学校教員を務める3児の父。第3子誕生により、2020年8月より1年間の育休を取得。その際「家族との向き合い方」で悩んでいたところ、他のパパたちも同じように悩んでいることを知る。家族と向き合うパパママを増やしたいと、出版プロジェクトに向けて行動を開始。育休&共働きコミュニティ「ikumado」メンバー。

男性の育休への見方をアップデートしたい

 「なぜパパは10日間の育休を取れないのか?」
 この問いに対して一言で答えるのは簡単ではありませんし、そもそも育休を取りたいという発想がない人も少なくありません。
 しかし、少しずつですが育休を取得する(もしくは取得したいと思う)男性は増えてきています。もしかすると、既に職場の同僚や部下、あるいは身近な人が育休の取得を考えているかもしれません。

 一方で、育休中にパパが何をしているかイメージできない人も少なくないと思います。私自身、育休を取るまでは「子どもが1人なら、妻1人でも面倒をみられるんじゃない?」くらいの気持ちでいました。

 しかし、自分が育休を取り家庭に入ったことで、その考えは大きく変わりました。
 離乳食のメニューを考えながら1日3食の献立を考え、自分の準備をしながら子どもたちの準備もする。子どもが怪我をしないようにとか、危ないものを飲み込まないようにとか考えていると、気軽にトイレにも行けない。これまで妻のしていたことの大変さが身に染みて分かりました。

 こんな感じで、育休を取ったパパが実際に何を考え、どのような生活をしているか、この連載を通して「パパ育休のリアル」をお伝えしたいと思います。
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そもそもパパ育休って何?

 本連載でいう「パパ育休」とは、仕事と育児を両立させるために「育児・介護休業法」で定められた育児休業制度、または職場や会社ごとに定められた育児休暇(有給休暇)を利用することを指します。
 育児休業の制度は男女にかかわらず利用でき、1歳未満の子ども1人につき原則1回取得できます。ただし、保育所に入所できないなどの事情があれば、最長で2歳になるまで延長できます。

 育児休業の制度はパートやアルバイトなど雇用期間に定めがある人も、一定の要件(入社1年以上かつ、子が1歳6カ月に達する日までに、労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと)を満たせば利用することができます。ただし会社によっては労使協定で一定の労働者を育児休業制度の対象外としている場合があるため、自分が制度を利用できるか分からない場合は会社への確認が必要です。

 「育児休業」と似た言葉に「育児休暇」があります。これは法律に定められたものではなく、職場や会社ごとに定められた有給休暇の一つです。以下、育児休業のことを「育休」と呼び、「育児休暇」と区別して表記していきます。

 パパ育休を別の言い方で表すと、「女性と同じように育児のためにお金をもらいながら仕事を休むことができる制度」と言うこともできます。
 妊娠、出産によって体に変化のある女性が育休を取ることは珍しくありませんが、体に変化のない男性が育休を取る例はまだまだ少ない状況です。そのため「男性でも育休を取れるの?」といった誤解を持っている人も少なくありません。

知っておきたい 育児・介護休業法(育児編ダイジェスト版)

 via www.youtube.com

よく聞かれることランキング第1位「どれぐらい育休を取るの?」

 こう聞かれて私が「1年間です」と答えると、かなりの確率で驚かれました。
 育休は、短くて1日から取ることができます。厚生労働省(平成30年度雇用機会均等基本調査)によると、約7割の男性が2週間以内の育休を取得しています。

 ちなみに半年以上の育休を取った男性は全体の0・2%、500人に1人の割合です。1年以上の育休を取得する男性社員は1000人に1人、約0・1%というまれな存在です。
 もし身近なところに半年以上の育休を取った男性がいた場合、かなりのレア人材とお知り合いということになります。

 2021年3月時点の最新のデータによると、男性の育休取得者は7・48%です。
 2020年には小泉進次郎環境大臣が現役の大臣としては初めて育休を取得したり、テレビドラマでも男性の育休に関する内容が放送されたりするなど、世間の関心も高まってきています。
 しかし、実際にはかなり限定的な取得に収まっていることから、男性の育休はまだまだ一般的ではないといえるでしょう。

よく聞かれることランキング第2位「ぶっちゃけお金は大丈夫?」

 正直なところ「大丈夫です!」と言えたのは最初の半年間のみで、残りの半年間はぶっちゃけ貯金を切り崩しながらの生活になりました。
 男性でも育休を取れば、国(正確には、給料から天引きされている雇用保険)から給付金をもらうことができます。その金額は、最初の半年間は手取りの約8割、残りの半年間は手取りの6割弱です。

 私の例で具体的な金額を紹介します。
 最初の半年間は、月の手取りが約30万円の私の場合、毎月、約24万円をもらうことができました。(30万円×0・8=24万円)半年以降は、月に約18万円になりました。(30万円×0・6=18万円)

 別の見方をすると、仕事を休んで家事や育児に専念すると、1日1万円ちょっともらえるよ、と考えることもできます(月に24万円の収入で、月に22日働いていたと仮定する)。
 この金額を多いと見るか少ないと見るかはそれぞれの考え方によりますが、私はとてもありがたい制度だと思いました。ただし、その分「家庭に貢献してね」という前提があることは肝に銘じておかなければなりません。自戒を込めて。

 ちなみに「ボーナスはどうなるの?」と聞かれることもあります。その答えは「最初のボーナスはもらえるよ、でも次のボーナスはもらえないよ」です。
 私の場合、8月から育休に入ったため、12月のボーナスも2カ月(6月と7月)は働いたと計算され、もらえました。ただし、次(6月)のボーナスは、働いた期間がゼロなのでもらえませんでした。
 ただ、ボーナスの計算は会社や業種によるので一概には言えませんが、教員(公務員)のケースという前提で紹介させていただきました。

よく聞かれることランキング第3位「実家が近くにないの?」

 私が「育休を考えているのですが……」と相談すると「実家が近くにないの?」と上司の1人に言われたことがありました。

 この質問の意図を私なりに解釈すると「実家のサポートがあれば、男性であるあなたは育休を取らなくてもいいんじゃないの?」です。読み間違えていたら、すみません。

 とはいえ、実家が近くにあってサポートを受けられたとしても、当然ですが、育休を取ることができます。しかもパートナーが専業主婦でも育休を取ることができます。これは2009年の法改正で可能になりました。

 ちなみに「ダブル育休」を取る家庭もあります。
 これはその名の通り、パパもママもダブルで育休を取る、という意味です。ちなみに、私の場合はこの「ダブル育休」でした。
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育休を取得してみて、どんな変化があったか

 実際に育休を取得したことでパパたちが感じている変化を簡単に紹介します。

自身のキャリアへの見方の変化(Hさん)

 育休を取る前は24時間、365日働いてでも上にいく、という考えでした。しかし育休を取った後は、家庭とのバランスを取りたいと思うようになりました。

 ただ、決してキャリアを諦めたというわけではありません。短い時間でいかに効率的に働くか、制限なく働ける人にどう対抗していくかを考えるようになりました。
 その結果、仕事以外で学びの場を設け、そこを取っ掛かりにしてキャリアを形成していく考え方にシフトしました。

世の中のママさんに対する圧倒的リスペクト

 男性同士の場では、普段はあまり語られることのないママさんの家事育児。
 それを実際にやる側になったパパたちは口をそろえて「今までこんなにやってくれていたんだ」と感謝と尊敬の気持ちが湧いてきたと言います。

 育児は「子どもを見ておくことだけ」だと思っていたパパが、実際の育児を知って、やることの多さにあぜんとする。
 今までは、話を聞いてもなかなか本当の意味では理解ができなかった家事や育児の実態。それを自分がする側になったことでパートナーへのリスペクトの気持ちが生まれたと、多くのパパたちが話していました。----------------------------------------

 多くの育休パパたちは、いったん仕事から離れることで自分のキャリアや家族との関わり方について真剣に悩み、それらについて正面から考えるきっかけを得ました。
 こんなパパたちの実態を多くの人は知りませんし、私自身もこのプロジェクトがなければ知ることはありませんでした。ましてや男性の育休についてなじみがない人は、育休パパに対して「変わった人」「特別な人」くらいのイメージしかないかもしれません。

 そんなパパ育休への見方を、この本を通してアップデートしていきたいと思います。
 この記事を通して、「育休を取ってみたい」「育休を取らせてあげたい」「男性の育休への見方が変わった」という新しい視点、つまり価値観の変化が少しでもあれば幸いです。

 次回の記事からは、実際に育休を取得したパパたちによるリアルストーリーをご紹介していきます。

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