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ワタミ、日本最大級の有機農業テーマパークを開業 陸前高田市に
ワタミは4月29日、岩手県陸前高田市で、有機農業テーマパーク「陸前高田ワタミオーガニックランド」を開業すると発表した。今回は部分開業で、敷地総面積約23ヘクタール(東京ドーム5個分)の内、3.3ヘクタール分が対象。ワタミは、本ランドを再生可能エネルギーを利用した循環型6次産業モデル実現の場と位置づけ、20年かけて段階的に施設を拡充していくという。
今回開業したエリアでは、インフォメーション棟、有機農業ハウス、BBQ棟、ぶどう畑を開設。ハウスでの野菜収穫体験のほか、地元食材を使ったバーベキューやハンバーガーなど飲食サービスを提供する。2022年には、水耕栽培ハウスや植物工場に加えて、新国立競技場などを手掛けた隈研吾氏設計による野外音楽堂なども開設を予定。ほか、牧場や発電施設、宿泊施設、農業研修なども順次建設を予定している。
陸前高田市とワタミは、2019年10月に本事業の連携協定を締結。施設整備・運営などはワタミ子会社のワタミオーガニックランドが担い、道路や排水等の基盤設備や現場を担う地元事業者の公募などは市が担う。ワタミは市と連携しながら事業化を進め、東日本大震災の被災地復興・地方創生を目指していくという。
■ワタミの6次産業モデルとは
ワタミはグループ全体で、「再生可能エネルギーを利用した循環型6次産業モデル」に取り組んでいる。ベースとなるのは、2002年から着手している有機農業事業「ワタミファーム」(1次産業)。これをグループの厨房で加工(2次産業)し、グループの飲食業や宅食事業(3次産業)で提供している。
6次産業とは、1次産業を行う農林漁業の生産者が製造・加工(2次産業)と流通・販売(3次産業)を一体的に行い、新たな付加価値創出を目指す取り組み。農林漁業の活性化や地産地消を後押しする面もあり、農林水産省でも推進・支援を行っている。
ワタミの6次産業モデルには、前述に加えSDGsへの取り組みが含まれる。ごみ・二酸化炭素を削減する環境負荷軽減活動や、風力発電施設の開発・運営による再生可能エネルギーの活用など。それらを包括して循環型6次産業モデルと呼んでおり、ワタミオーガニックランド内ではモデル全体を具現化できる想定だ。
コロナ環境下でワタミは、これまでの居酒屋メインの事業を変化させてきた。2020年中は、居酒屋店舗の焼肉店へのシフトや、テイクアウト店の出店強化などを実施している。
2021年度第3四半期時点では、売上高は465億円で対前年同期比33.3%減。売上高に対する各事業の割合は、好調な宅食事業が約6割で、国内外食が約3割。その後、海外外食・電力小売等環境・農業と続き、農業事業単体では1%未満の状況にある。
ワタミオーガニックランドの事業化は、新たな付加価値提供・企業価値向上に寄与するか。今後の展開に注目したい。(記事:三部朗・記事一覧を見る)
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