障害者雇用の現状と課題、解決のポイントとは

2021年4月12日 17:20

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記事提供元:biblion

 (連載第1回)障害者専門の人材サービス会社「パーソルチャレンジ」に発足したパーソルチャレンジ Knowledge Development Project による、経営目線に立った障害者雇用の成功セオリー。障害者の人材紹介や雇用コンサルティングに携わる一方、自社でも多くの障害者を雇用する経験を踏まえ、企業と障害者がwinーwinの関係に近づくための「障害者雇用成功のポイント」を紹介します。

障害者雇用の現状と課題、解決のポイントとは

 本連載は、書籍『障害者雇用は経営課題だった! 失敗事例から学ぶ、障害者の活躍セオリー』(2019年12月発行)を、許可を得て編集部にて再編集し掲載しています。

障害者雇用を、成功させる

 はじめまして。私達パーソルチャレンジは、人材派遣サービス「テンプスタッフ」や転職サイト「doda」を運営するパーソルグループの一員です。

 「障害者雇用を、成功させる。」というミッションのもとに、障害者専門の人材紹介やコンサルティングを生業としています。人材紹介は2002年の事業開始以来1000社以上、コンサルティングは2014年の開始以来100社以上、お手伝いをさせていただきました。

 一方で、パーソルグループの特例子会社として、自社でも多くの障害者を雇用しています。
 2021年4月1日の時点で、970名いる従業員のうち、障害者は535名。内訳は、身体障害者92名、知的障害者41名、精神障害者402名となっています。

パーソルチャレンジ株式会社ー障害者雇用を成功させる会社

パーソルチャレンジ株式会社ー障害者雇用を成功させる会社障害者雇用を成功させる会社。パーソルチャレンジ株式会社の公式コーポレートサイトです。

障害者雇用の現状

 障害者雇用というと、暗黙の了解として社会福祉の観点から取り組む企業が多いかもしれませんが、私達は社会福祉だけではなく、コストや生産性向上など「経営的な観点」も交えて障害者雇用をお手伝いしている、ちょっと珍しい会社です。
 障害者の雇用を促進するため、民間企業や国・地方公共団体などの雇用主に対し障害者を一定の割合以上になるよう義務づける「障害者雇用率制度」が定められ、この障害者雇用率は、一般に「法定雇用率」と呼ばれています。

 現在、障害者雇用の法定雇用率を達成している企業は45.9%しかありません。さらに、障害者雇用の法定雇用率は引き上げが続いています。民間企業の場合、法定雇用率は2018年4月1日に2.0%から2.2%に引き上げとなり、対象となる事業主も従業員数50人から45.5人まで拡大されました。

 2021年4月までにはさらに0.1%引き上げられ、民間企業の法定雇用率は2.3%になることが決まっています。障害者雇用でお困りの企業は、今後さらに増えていくでしょう。

 ※厚生労働省「平成30年 障害者雇用状況の集計結果」より

障害者雇用で躓くポイント

 人材紹介会社を通じて採用した場合、1人にかかる採用コストは100万円前後、福祉系の就労支援事業所を介して採用しても、その手間暇を考えると数十万円の採用コストがかかっています。
 さらには面接・選考・採用後の教育にもかなりのコストが必要です。採用後うまく職場に定着できず早期退職してしまうと、これらのコストも無駄になってしまいます。

 多くの企業のお話をお聞きするなかで、私達はあることに気付きました。障害者雇用で躓くポイントは、皆さんとても似ているということ。
 そして、経営的な観点で相談できるところが少ないということです。

 障害者雇用で躓きやすいポイントや問題点、解決方法について、もっと気軽に知っていただく方法はないかと考え、本書の出版に至りました。

障害者雇用に「経営的観点」を

 私達が考える「経営的観点」とは、障害者を企業の経営目的達成の戦力として位置付けることです。
 これは、障害者を企業の投資戦力として、他の人材資源と同じように活用すると言い換えることもできます。この視点での議論は、昨今ようやくオープンになりましたが、少し前までは議論することさえ憚られる雰囲気がありました。

 一方、いわゆる「福祉的観点」は、障害者の保護を優先課題としています。企業の社会的・法的責任を果たすため、人材の活用よりも雇用数と配慮に重きを置いているのです。
 これは、企業で障害者雇用が開始された当時、障害者の保護を使命とする福祉業界から企業がサポートを受けたことに起因します。

 福祉的観点だけでは、企業経営にはプラスにならず、障害者自身も活躍する機会が得られません。それだけでは障害者を雇用し続けることは不可能でしょう。
 障害者雇用の促進には、経営的な観点が必要不可欠です。もちろん福祉的観点が不要というわけではありません。
 福祉的な配慮を続けながら、経営的な観点を盛り込むことで、企業と障害者はwin―winの関係に近づくことができるのです。

障害者雇用における課題解決のポイント

 障害者を雇用し、活躍してもらうために行うべきことは多岐にわたります。私達が持っているノウハウの全てを一度にお伝えしようとすると、辞書のような分厚い本になってしまうでしょう。
 最初からそのような本を読むのは負担が大きいため、今回は入門書としてポイントを絞り、読みやすくまとめております。

 ・障害者の採用と活用で躓きやすいポイント
 ・企業経営の中で、障害者に活躍してもらうためのポイント
 ・障害者雇用の問題を解決するための基本的な考え方
 ・自社の障害者雇用状況を把握するためのチェックリスト

 これらのポイントを、私達がご支援している企業でよく見られるケースからご紹介します。いずれも従業員1000名以上のいわゆる「大企業」で、障害者を一般部署に配属して雇用している事例になります。

 経営者や役員の方にお読みいただくことを想定し、現場レベルの出来事から人事評価制度の考え方まで、経営的な観点を交えてご説明いたします。
 この本(記事)をお読みいただき、「障害者雇用に前向きに取り組もう」と感じていただけますと幸いです。

 次回以降、これらのポイントについて詳しく解説していきます。
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