コロナ関連の破たん1231件 3月は過去最多を大きく更新 東京商工リサーチ

2021年4月3日 17:35

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 東京商工リサーチは2日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で経営破たんした国内事業者数が、1週間で53件増え、累計で1,231件(負債1,000万円以上)に達したと発表。3月は139件が確認され、過去最多だった2月の122件を大きく上回った。緊急事態宣言は解除されたものの、全国各地で新規感染者数は増加。政府は、大阪、兵庫、宮城で全国初となる「まん延防止等重点措置」を適用するなど、経済的な影響より感染拡大防止を優先する姿勢を示す。

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 東京都は3日、都内で確認された新型コロナ新規感染者数が446人だったと発表。4日連続で400人を超えた。3日までの1週間における1日当り平均は383人で、前週の342人や前々週の298人から増加。

 政府は1日、「まん延防止等重点措置」を大阪、兵庫、宮城に全国で初めて適用することを決めた。各府県にて大阪市や神戸市などの市が対象に指定され、緊急事態宣言に準じた対策が可能となった。5日から大型連休最終日とされる5月5日までが対象期間。大阪市が市内飲食店を訪れる見回り隊を組織することを決定したほか、兵庫県も委託業者による飲食店の見回りを決定。

 緊急事態宣言解除後に新規感染者数のリバウンドが見られるのは大阪、兵庫、宮城に限らない。1日時点では、43都道府県で前週を上回った。新型コロナ感染症対策分科会の尾身会長は2日、現在の感染状況や病床使用率などから「いわゆる第4波に入りつつあるという言い方をして差し支えない」とコメント。長野県や沖縄県は飲食店等に対し独自の協力金を支給し時短効果の向上を狙う。

 拡大の要因の1つが、緊急事態宣言解除前より懸念されていた変異型。現在日本で拡大しているイギリス型や南アフリカ型は、感染力が強い上、重症化しやすいとされる。現時点では関西圏を中心に感染が広がっているとの見方が強い。

 新型コロナウイルスの世界における累計感染者数は、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によれば日本時間3日午後4時時点で1億3,026万人超、死者数は283万人を超えた。国別の最多は米国の3,060万人超、次いでブラジルが1,291万人、インドが1,239万人。以下、フランス480万人、ロシア451万人、イギリス436万人、イタリア362万人、トルコ340万人と続く。

 かかる状況下、東京商工リサーチは新型コロナウイルスに関連する経営破たん事業者数が、2日16:00時点で1,231件に達したと発表。このうち1,154件が負債1,000万円以上の私的整理ないし法的整理。破たん企業が雇用していた従業員数の累計は、判明している数だけで1万6,209人。引き続き、飲食関連のほか、アパレル、建設業、宿泊業で全体の半数近くを占める状況だ。

 米労働省が2日に発表した3月の雇用統計で、非農業部門の就業者数が市場予想を大きく上回ったことを受け、米国におけるコロナワクチンの普及が景気回復を後押ししているとの見方が広がった。日本でも、河野大臣が2日に発表したところによれば、ワクチンの供給計画は当初予想よりハイペースとなる見通しで、また、ファイザーが同社製ワクチンの冷蔵での輸送を認める方針を発表するなど、ポジティブなニュースが続く。

 一方、コロナを機に多くの産業でデジタル化が進んだことで、景気の回復に比べ雇用の回復が進まないとの意見も多く、業種転換や就労教育が重要視される。(記事:dailyst・記事一覧を見る

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