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ドレスドアンドレスド 2021年秋冬コレクション - persona|anosrep──鏡映しのわたし
ドレスドアンドレスド(DRESSEDUNDRESSED)の2021年秋冬コレクションが発表された。
■persona|anosrep
“Anosrep”──内側から見たpersona、あるいは鏡映しのpersona。今季は、心理学者ユングが“自己の外的側面”を指すために用いた「ペルソナ」をテーマに自己の外面と内面を思考した2021年春夏と、いわば鏡を挟むように対をなす。
この“鏡”にいったん留まってみても良かろう。なぜなら鏡とは、“見る”と“見られる”とが交わる、冷え冷えとした平面なのだから──「おお、鏡よ!/冷たい水よ、そなたを囲む縁のなか、倦怠によって 凍れる水よ(...)そなたの 畏るべき泉水のうちに/知ってしまった、散乱する我が夢の 裸形の姿を!」(ステファヌ・マラルメ「エロディアード──舞台」より)。
■静謐と運動
基調、そして起点となるのは、端正なフォルムに仕立てられたテーラードジャケットだ。なるほどシングルブレストのジャケットはぴんと張り詰めた佇まいでありながらも、その一方でともに合わせられたワイドシルエットのパンツはしなやかに波打っている。
■肉体を仄めかす官能性
端正なフォルムとしなやかな運動のこの結合とともにコレクションを特徴付けるのが、肉体を覆っては透かして見せる=魅せる官能性だ。身体に沿うようなスリップドレスには大胆にレースを使用し、素肌を覆う/曝けだすのあいだに震えてやまない。
一方、比較的ロングな丈感のショールカラージャケットにはタイツを重ねる。普通ならば艶めかしい肉体の白さが覗くであろう大胆な網目の先には、屈強なフォルムと上品な光沢感が層を織りなしている。一方でアイレットを散りばめたジャケットは、なるほど多数のホールがシャツの布地や素肌を覗かせるものの、鮮烈に光を返す、大小異なるサイズのアイレットは、ややもすれば強烈に過ぎるエロティシズムを屈折させている。
■繊細に波打つ、屈強なエレガンス
そして、凍った水面のように屈強なエレガンスを湛えるダブルブレストのチェスターコートやラップスカートには、裾に数多とフリンジを配して。ひとつには、刺繍と同様に繊細な作業を屈強なフォルムに接ぎ木する意識が窺えよう。他方で、歩みに合わせて激しく揺れ動くフリンジは、静謐にして端正なフォルムを示すコートやスカートと鮮烈なコントラストを描いている。
だとするならば、風を孕んで軽やかに、また激しく震えるキュプラ地のローブは、運動とともに揺らめき、波打つはずの身体の表皮を、ドラスティックに可視化したものなのかもしれない。「石膏の皮膚をやぶる血の洪水/針の先で鏡を突き刺す さわやかなその腐臭」(清岡卓行「石膏」より)──鏡は砕け散り、肉体がもつ確かな肌理を、鮮やかなまでにこの手に感じるのである。
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