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アルツハイマーをWeb上の簡単なテストだけで予測 東大らがアルゴリズム開発
東京大学は24日、Web上での簡単なテストでアルツハイマー病を予測するアルゴリズムを開発したと発表した。臨床試験を実施するために必要な、前駆期状態の人を効率的に見出だすことができるようになる。アルツハイマーは認知機能が低下する前に薬剤を投与することが重要のため、治療薬の開発促進の役立つと見られる。
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Web上で年齢や性別、認知症の家族歴や自覚症状、認知テストを行うだけで、アルツハイマー病の前駆状態にある可能性を検査できる。Webで完結してスクリーニング評価が行えるため、従来の対面検査よりも気軽に参加してもらうことが可能だ。
アルツハイマー病の前駆状態の時は認知機能の低下症状がないため、臨床試験に適当な人を見つけるのが困難だった。そのため専用の脳PET検査等を行う必要があるが、一部の専門施設でしか実施できないという課題があった。また保険適用がないため、検査が高額だという障壁もある。
認知症の原因の約7割を占めるアルツハイマー病は、国内のみで600万人以上とも言われている。病気になるメカニズムは未解明な点が残されているが、脳内にアミロイドβというたんぱく質が貯まっていくことが、最初のきっかけと見られている。
物忘れが始まる10~20年以上前からアミロイドβが蓄積しており、発症前の前駆状態の時期に治療を開始すれば根本的な治療が可能になる可能性が高いと予測されている。60~70代以上の4~5人に1人程度はこの前駆状態である「プレクリニカル期」と考えられている。
今回開発されたアルゴリズムは、前駆期の人を対象に、抗アミロイドβ抗体医薬を投与する国際的な官民パートナー型臨床試験で得られた公開データを、学習データとして使用している。
今回の研究成果は、3月24日に国際学術誌「Alzheimer's & Dementia: Translational Research & Clinical Interventions」にオンライン掲載された。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る)
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