AIで熟練した医師の判断を学習 投薬管理を効率化 岡山大

2021年3月20日 16:54

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AISACSのシステム概要。(画像: 岡山大学の発表資料より)

AISACSのシステム概要。(画像: 岡山大学の発表資料より)[写真拡大]

 近年では医療におけるAI活用が進められているが、投薬支援の分野はやや遅れを取っている。その理由として特に日本国内では、法規制や経済的な制約などもあり、AI活用に必須の良質なビッグデータが集めにくいということが挙げられる。投薬に関するAIの学習効率化に向けて開発を行ってきた岡山大学は19日、AI投薬支援システム「AISACS」の開発に成功したとに発表した。

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 日本国内では糖尿病患者が増加しており、30万人以上の患者が透析治療を受けている。治療で用いられる製剤は非常に高額である上に、副作用防止のために投薬にはある程度の臨床現場での経験が必要とされる。個々の患者の健康状態を踏まえた投薬には様々なファクターが関係することもあり、従来の方法でのAI活用は難しいとされてきた。

 それらの背景から、AISACSの開発では機械学習の方法と出力を工夫して効率化することに重点が置かれた。従来の方法では投薬後の患者の生体反応に着目していたが、今回は熟練した医師の判断自体の学習に重きを置いている。これまでの投薬履歴と血液検査などのデータをAISACSに入力するだけで、その患者への適切な投薬の仕方がAIで分析される仕組みだ。

 AISACSのこれまでにない優れた機能として、医師以上に先読みをした投薬指示が可能であるという点が挙げられる。このことから、AISACSの使用によって、熟練の医師と比較してもよりきめ細やかな投薬指示ができる可能性が示された。つまり投薬量のさらなる適正化や、医療従事者の疲労軽減などを図ることが期待される。

 今回の研究は、糖尿病の投薬管理に注目したものであるが、他の治療における投薬にも応用可能であるとされている。その一例として、集中治療室の血糖管理への応用が東北医科薬科大学と共同で進められている。この他にもいくつかの分野での実用化が目指されており、AIによる投薬管理の効率化が期待される。

 今回の研究成果は2月22日付の「International Journal of Medical Sciences」オンライン版に掲載されている。

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