「賃貸併用住宅」による不動産投資で理解しておきたいこと (後編)

2021年3月13日 08:08

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■はじめに

 本稿は「『賃貸併用住宅』による不動産投資で理解しておきたいこと(前編)」の続きである。前編とあわせて読んでいただきたい。

【前回は】「賃貸併用住宅」による不動産投資で理解しておきたいこと (前編)

 後編では、賃貸併用住宅のデメリットおよびリスクを中心に紹介していこう。

■低い利回り

 賃貸併用住宅は賃貸部分の使用用途などにもよるが、一般的なアパートなどの投資用不動産と比較すると利回りが低い。これは、不動産の半分を自身の居住用として使用するため、この部分からは家賃収入が得られないことが要因だ。

 一般的な投資用不動産は不動産のすべてを投資用として利用するため、投資金額に対する収益率が賃貸併用住宅よりも良いというわけだ。

■入居者の確保が困難な場合も

 賃貸併用住宅は、物件オーナーと賃貸入居者が一緒に住むという性質から、入居者が確保しづらい場合がある。入居者にとってオーナーがすぐ近くにいるという点を避けたいという心理が働く場合もあるからだ。

 例えば、オーナーから騒音やゴミ出しなど、生活環境に関する指摘を直接受けてしまうことも想定される。このような事態を避けたいという入居者も、少なからずいるのではないか。

 またオーナーにとっても、入居者からの要望や依頼などの対応を逐一しなければいけない場合もある。入居者との距離も近いため、そういった状況をストレスに感じることも想定されるだろう。

■多額のローン返済

 賃貸併用住宅は居住用および賃貸用が設けられているため、一般的な住宅や投資用不動産と比較すると、ローン借入額が高額になる。そのため、毎月の返済額がその他不動産よりも多く、返済の負担が大きいといえよう。賃貸が空室の場合、住宅だけでなく賃貸の返済もしなければいけないため、その返済負担はさらに大きくなる。

 なお、ローン借入時には頭金や諸費用の支払いも発生することが多い。その金額は借入額が大きければ大きいほど増加するため、賃貸併用住宅の購入は家計にとって大きな負担になる点も理解しておこう。

■売却のしづらさ

 賃貸併用住宅は一般的な住宅や投資用不動産と比較すると売却しづらく、出口戦略が取りづらい傾向にある。これは金額が大きいことに加え、限定的なニーズにしか応えられない点が大きな要因といえよう。

 金額が大きいという点については、買い手もローンを組むことになるが、その金額が大きくなればなるほど、ローン審査が厳しくなる。先述の通り、賃貸併用住宅は金額が大きいため、購入可能な買い手自体が少ないというわけだ。

 また、賃貸併用住宅は住宅購入希望者や投資用不動産単体の購入希望者の対象物件にはならないため、そのニーズに応えづらい点もある。

■さいごに

 賃貸併用住宅のデメリットやリスクをこれまで述べてきたが、立地や賃貸部分の活用方法を見極めることが重要だ。そうすることで、円滑に運用することも可能だ。

 特に、不動産では立地が最重要条件になり得るため、その点は注視したい。(記事:大掛翔太・記事一覧を見る

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