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カロリー制限による腫瘍進展抑制効果(画像: 量子科学技術研究開発機構の発表資料より)[写真拡大]
福島第一原発事故が発生したことで、被ばくによる発がんリスクについての関心が高まっている。また被ばくだけでなく、被災後の避難生活では生活習慣が普段と大きく異なることも発がんリスクに影響する因子である。
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大腸がんの発がんリスク低減方法を研究してきた量子科学技術研究開発機構(量研)は5日、モデルマウスの実験により、カロリー制限によって発がんリスク抑制の効果が発見されたと発表した。
量研ではこれまでにもモデルマウスを用いて被ばくに起因する寿命短縮や肝がん、肺がんの発がんリスクについて研究を行ってきた。それらの研究の中では、カロリー制限が予防に有効であることが示唆されている。一方で、一般に生活習慣病と密接に関係するとされている大腸がんに対しては、効果は不明とされてきた。
それらの背景から、量研では小児期に被ばくしたモデルマウスの餌のカロリーを変化させて消化管腫瘍の総数、悪性度の解析を実施。餌のカロリーは、主に炭水化物量を減らすことで調整した。
その結果、カロリー制限を行うことで大きいサイズの腫瘍が明らかに減少することが分かった。また、カロリー制限は成人期からでも効果はあるが、小児期や若年成人期から行う方がより効果的であることも判明している。高線量の被ばくをしたマウスに対しても、カロリー制限は有効であるという結果も得られている。カロリー制限が有効な理由としては、血液中の中性脂肪増加の抑制が関係していると量研は考察している。
福島第一原発事故では、被ばくの線量が少ないため発がんリスクは非常に低いとされているが、今回の成果は新たな予防法の開発につながる。また、原発事故のような放射線災害のみならず、検査や診断、治療による医療被ばくなどに対する不安への対策の一助ともなり得る。量研はカロリー制限だけでなく運動などの効果についても解析を行っていくとしている。
今回の研究成果は「Anticancer Research」誌のオンライン版に掲載されている。
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