日本電産、業績予想を上方修正 精密小型モータが好調

2021年1月28日 17:51

印刷

■売上高据え置きも営業利益を上方修正

 精密モータ大手の日本電産(6594)は25日大引け後、21年3月期の業績予想の上方修正を発表。売上高は据え置いたが、営業利益は従来予測の1400億円から10.7%増の1550億円(前年比42.8%増)、純利益は1050億円から14.3%増の1200億円(同105.3%増)とした。なお、想定為替レートは対米ドルは105円、対ユーロは117円と見通しの変更はなかった。

【前回に続き】日本電産、通期予想を上方修正 家電や車載モーターが持ち直しへ

 併せて発表された第3四半期(20年4月~12月・IFRS基準)連結累計決算は、売上高が前年同期比2.2%増の1兆1850億円、営業利益が同24.0%増の1155億円、純利益は同69.6%増の836億円と、コロナ禍で厳しい業績の企業が多い中好調な決算を発表した。

 修正後の業績予想に対する進捗率は、売上高は76.5%、営業利益は74.5%、純利益は69.7%となっており、上方修正はあくまでも業績進捗と想定の差を上乗せした分にとどまっている。着実に進めている固定費削減等の施策次第では更なる上方修正余地を残している。

■精密小型モータや家電・商業用向けモータ向け需要が好調

 通期業績予想の上方修正は第2四半期の決算発表時にも行っており、今回は2回連続となる。コロナ禍で厳しい製造業が多い中、日本電産は強い需要のもと、業績を伸ばしている。背景として、扱う精密モータへの需要が非常に高く、家電・ゲーム向けや車載向け、搬送用ロボット向けなど多方面に渡り精密モータへの需要が集まった。

 中でも巣篭もり需要によってPCやゲーム等へのニーズが高まっていることから、精密小型モータ事業の業績が好調で、また2019年に買収したエンブラコ社の寄与もあり、商業向けモータ事業も好業績であった。永守重信会長による強いリーダーシップのもと、コスト改善を進めており、固定費削減や有利子負債の返済等強い組織づくりに努めていることが好業績につながっていると言えよう。

■車載向けモータのM&Aを積極的に実施

 目先に見据えるところは、連結売上2兆円と現在からは倍に近い水準だが、M&Aを通じて約5000億円の売上増加を目指すなど積極的な投資姿勢を見せている。また、車載向けモータへの投資へは惜しみなく行う方針で、将来的には車載向けのみで1兆円の目標を掲げている。

 車載向けではEV(電気自動車)用の駆動モータへの研究開発を進めており、23年には黒字化できるための戦略プランを練っているなど、非常に大胆だ。保守的な企業が多い中、世界を代表するモータメーカーである日本電産の成長性には引き続き期待できそうだ。(記事:拓蔵・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事