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そもそも、バリュー投資は暴落時の対策以外、原則損切りをしないという条件の下で行われる投資であり、極端にいえば、株式を購入したら日々の値動きは一切見ずに、決算まで保有し続けるぐらいの覚悟が必要だ。
【前回は】なぜ投資は失敗するのか バリュー投資・グロース投資の今と、重要な2つの要素 前編
日々の値動きだけを追って一喜一憂するのは投資の考え方ではなく、むしろ投機の考え方である。投機は会社の将来性や株価が割安かどうかは問題にせず、値動きが大きい金融商品を対象として、短期間の値動きで利益を得る方法だ。
たとえ短期間の値動きであっても、そこに比較的大きな資金をかけることで一定の利益を発生させることができるが、利益をコツコツと積み上げていく必要があるため、想定外の急な値動きで思わぬ損失を被らないよう、素早い損切りが鉄則ともいえる。
さて、ここで振り返っていただきたいのは、自分自身が行っているのが投資か投機なのかについて、その認識だけではなく「時間軸の明確化」ができているかどうかである。企業業績やPBR、PERなどを調査して銘柄を決めたとしても、日々の株価を気にするあまり、想定よりもはるかに短期間で株式を売却してしまってはいないだろうか。
また、テクニカル分析をメインに、デイトレードのような投機寄りの短期間で取引を行っていたのにも関わらず、損失確定ができなかったことを長期的な保有目的にすり替え、自身を正当化してはいないだろうか。これは、塩漬け株となる最たる原因でもある。
さらに、これらの「時間軸の明確化」と合わせて、株価も気にならないし損切りも躊躇しないというような「投資的金銭感覚」が身についているかについても、確認すべきだろう。「投資的金銭感覚」とは、財布の中の10,000円と証券口座の中の10,000円の価値を明確に分けることである。
投資や投機を行う場合には、余剰資金で行うべきであるといわれているのは、この「投資的金銭感覚」を身につけることが難しいからだ。つまり、生活費との棲み分けが正しくできていないと、日々の値動きがどうしても気になってしまい、「今売却をすれば昼食代が浮く」「もっと早く損切りしておけば旅行に行けた」など、根拠が薄い発想での売買になりがちだ。
子供の学費や将来のリフォーム費用として、つみたてNISAなどの非課税枠を活用して貯金の代わりとするのはよいが、「時間軸の認識」と「投資的金銭感覚」が備わっていなければ、気まぐれな運用となってしまい、想定通りのリターンを得ることは難しいといえるだろう。
誰もが上昇局面であると判断できたアベノミクスが終わり、日本銀行に新たな金融緩和政策が期待できない以上、NISAなどの各種控除制度を理由とした投資や投機のスタートは敬遠すべきではなかろうか。
2つの要素に自信がない人は、無理に投資や投機に手は出さず、預金金利よりはいくぶん金利が高い、国債や社債、公社債投資信託などのローリターン、ローリスクの商品を検討するほうが安全なのだ。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)
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