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日本、2050年「グリーン社会の実現」 中国、2035年「全て環境車」
10月26日に招集された第203臨時国会において、菅総理大臣は所信表明演説の中で、2050年までに「グリーン社会」を目指すと表明した。グリーン社会とは、カーボンニュートラル (carbon neutral、炭素中立)を実現し、CO2排出と消費をバランスさせることだ。
自動車では、ZEV(ゼロエミッション車:Zero Emission Vehicle)にすることである。ZEVとは、排出ガスを一切出さないEV(電気自動車)やFCV(燃料電池車)、水素燃料車などである。しかし、EVでは発電方式を自然エネルギーなどに切り替える必要があり、中国もFCVや水素燃料車など「グリーン水素」社会を念頭に置いているようだ。
日本が2050年「グリーン社会」を目指すとしたことについて、中国はすぐさま「歓迎する」と発表している。その背景には米中対立があり、欧州や日本と歩調を合わせ、アメリカの孤立を狙っているものと言える。そして菅首相の発表と中国の目標には、長年のトヨタ・ホンダなど日本企業の中国政府に対する働きかけが功を奏したように見える。
日本経済新聞『中国、2035年全て環境車に 通常のガソリン車は全廃』によると、中国は2035年までに❝新車販売のすべてを環境対応車にする❞としており、❝50%を電気自動車(EV)を柱とする新エネルギー車とし、残りの50%を占めるガソリン車はすべてハイブリッド車(HV)にする。❞とした。
これにより、中国では全てのクルマを「電動車」とすることになり、日本の自動車メーカーであるトヨタやホンダには技術的メリットがある。FCVとなればトヨタの特許であり、水素燃料エンジン車となればマツダ・ロータリーエンジンが有力候補となる。欧州勢は「水素燃料エンジン車」を目指しており、急速な技術開発が進められる。
これは、「グリーン水素(石油由来ではなく電気分解などで得られる水素)」を誰が製造するのかなど、巨額投資の問題を国家規模でクリアしていく動きだ。世界最大の自動車市場である中国と欧州市場が動けば、世界の流れは決まってくる。アメリカもカルフォルニア州などが動き出しており、日本も遅れることなく動かざるを得まい。
中国としては、自動車産業を育成するため、日本などから精密機械加工技術などを取り込み、世界の主要国になることを目指すのであろう。アメリカのGAFAなどや中国のソフト産業が注目されているが、社会は「製造」することが必須であり、どれほど制御ソフトの必要性が高まっても製造技術の開発をおろそかには出来ないのだ。
ソフト産業の発展は容易だが、製造業は長い年月が必要だ。テスラの経緯を見れば分かる。中国は、産業政策として中国市場を国外メーカーにだけ与えるわけはなく、必ず国内メーカーの育成をしてくる。そして、そこに日本メーカーの技術力を必要としているのは明白だ。むしろ、日本政府が国内メーカーの育成に後れを取って、日本メーカーが国外で発展してしまう事態は避けなければならない。日本国内の自動車市場の育成方法を真剣に考えてほしいものだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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