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他者の行動からどの様に学習するのか 神経回路の流れ解明 日本医療研究開発機構
脳活動の解析結果を表す模式図(画像: 日本医療研究開発機構の発表資料より)[写真拡大]
人間社会におけるコミュニケーションで他人の行動から学び、自身の行動に役立てることは必要不可欠である。しかし、そのような学習の仕方について脳科学的な側面からは不明な点が多く、神経発達障害などの解明も未だされてこなかった。このような問題に対する足掛かりとなる研究成果が16日、日本医療研究開発機構より発表された。その発表内容によれば、大脳の特定の神経回路が重要な役割を果たしているという。
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これまでの研究では、大脳新皮質の特定の部分が、他者の行動情報の処理に関与していることが明らかになってきた。大脳新皮質は人間が社会の複雑化の過程で発達させてきた脳の部位である。大脳新皮質の中でも、腹側運動前野(PMv)や内側前頭前野(MPFC)が特に重要な役割を果たしていることは知られていた。しかし、これらがどのような機能や、やり取りをしているかまでは判明していなかった。
そこで日本医療研究開発機構の研究グループは、ニホンザルによる実験を行い、その脳内の神経細胞を観察して分析した。実験の内容は、他者としてディスプレイ上のサルを映しながら、報酬付きの問題を出題して学習効果を評価するというものだ。その際に、PMvとMPECとの間でどのような神経情報の変化があるかを解析した。
その結果、他者の行動を観察するときに、PMvからMPFCへの神経情報の流れが活発化していることが明らかとなった。この神経情報の流れを遮断した場合、他者の行動から学習できずに、同じ間違いを自身の行動でしてしまうケースが増加。一方で、自身が失敗した場合は正しい選択をし直すことができており、自身の学習効果とは別であることも分かっている。
今回の成果は、社会生活において基盤となる、他者の行動情報処理の仕組みを解明する大きな足掛かりとなることが期待される。また、神経発達障害の中でも自閉スペクトラム症など、そのような処理を苦手とするものにおける理解にも役立つ可能性がある。
本研究の成果は16日付の「Nature Communications」誌のオンライン版に掲載されている。
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