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コロナ禍でも富裕層の保有資産は過去最高に
●世界の富裕層の保有資産が過去最高に
世界の富裕層の保有資産が10兆ドルの大台を突破し、過去最高になった。
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UBSとPwCのリポートによると、富裕層全体の富の約98%を占める約2000人の保有資産は、7月20日時点で10兆2,000億ドルとなっている。これまでは2019年末の8兆9,000億ドルが最高だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で25%超拡大したことになる。
コロナ禍で各国が不況にあえぐ中で、さらなる経済格差を作ってしまった形となった。
●なぜこうなるのか
実体経済が停滞しているにもかかわらず、なぜ富裕層だけが儲かるのか?
富裕層の保有資産拡大の背景には株高がある。
2008年のリーマンショックの時も同じ現象があったが、今回のコロナショックを受けた大規模な経済対策や金融緩和で、多額の金が米株市場に流れ込み、実体経済とかけ離れた株高となる。
巣ごもり需要で、グーグル、アップル、アマゾン、ズーム、ネットフリックス、マイクロソフトなどの勝ち組企業は恩恵を受け、その勝ち組企業の最高経営責任者(CEO)や役員、株主は大金を手にした。
●心配される格差
富裕層の保有資産は25年前には1兆ドル強に過ぎず、この間に大幅に拡大したこととなる。
株高で恩恵を受ける富裕層がいる一方で、生活基盤さえ失いかねない中間層との格差は深刻となりつつある。8月の米失業率はようやく10%を下回り、回復を見せているとはいえ、まだまだ予断を許さない。
米国では、在庫を補充する人、運転して配達する人、介護職の人は低賃金で職をかけもちしている人が多い。労働環境も悪く、健康面でもリスクが高い。
低所得層の受け皿になっていた外食産業も回復が遅れている。
米国の株価だけが好調という現象はまだまだ続くだろうが、実体経済の回復には時間がかかりそうだ。
格差問題は、11月に行われる米国大統領選の争点にもなることは間違いない。どちらの候補が勝ったとしても、根深い問題となり、政策の舵取りも難しい選択を迫られることになるだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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