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原点なき巨大企業の迷走 日本郵政グループの立ち返りとは?
保険や投資信託の営業再開など再スタートを切った日本郵政グループだが、新聞広告やチラシ配布、お詫び行脚に対する顧客の反応は冷ややかだ。
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広告・チラシには「原点に立ち返り」とあるが、そもそも日本郵政グループの原点とは何か?
郵便制度の父である前島密の信条は「縁の下の力持ちになることを厭うな。人のためによかれと願う心を常に持て」であった。日本郵政グループに「原点」があるとすればまさにこの言葉だろうが、経営陣も含め一体何人の社員が知っているだろうかと疑問に感じる。
都市部郊外や山間部の郵便局では未だに上から目線の接客が常態化している。
書類の記入1つでも教育の行き届いた金融機関であれば「ご記入願います」といったところだが、郵便局のスタンダードは「ここに書けばいいですから」だ。ATMのみ利用するお客には声かけすらないが、各エリアの支社や部会長来局の際は社員総出で「いらっしゃいませ」であり、大事なことは未だに理解されていない。
日本郵政グループでは昨年12月に「お客さま本意の業務運営に関する基本方針」を策定しており、グループ各社の取組状況をみる限りでは一定の成果もあるようだ。
しかし数値化できる項目を都合よく掲載しただけともいえ、東京貯金事務センターにおける顧客情報の紛失や大分県・中川郵便局で発生した貯金横領など、業務改善計画実行中の不祥事は各社のプレスリリースへひっそりと掲載されるだけである。
10月2日には島根県・跡市郵便局の職員が約3千通の郵便物を配達せず、自宅に隠し持っていた事件が報じられたばかりだ。
行政処分を受け、信頼回復に努める企業がこの体たらくである。社是や創業の意思など「拠って立つところ」のない企業には立ち返る原点すらないといえるが、日本郵政グループは一体どこへ回帰したいのか。
まずは「これからはしっかりやる」といった自己アピールより、まともに挨拶できるくらいのレベルにするべきだろう。足元が疎かになり消滅した企業は山ほどある。(記事:坂根豊志・記事一覧を見る)
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