いまこそおさらいしたいNISA口座の基礎 後編

2020年9月29日 07:57

印刷

 さて、2024年からは「新NISA」がスタート予定だ。別名「2階建てNISA」とも呼ばれるこの制度は、1階部分がつみたてNISA、2階部分が一般のNISAとなっている。1階部分のつみたてNISAでローリスクローリターンな投資運用を行った上でなければ、株式売買などを行う一般のNISAとしての取引をすることができない(既に一般のNISAで投資を行っている人や投資経験者については除外規定あり)。

【前回は】いまこそおさらいしたいNISA口座の基礎 中編

 1階部分は毎年20万円まで、2階部分は毎年102万円までと非課税枠が決められており、毎年合計122万円まで、最長5年間の運用が可能であることから、最大610万円の非課税枠を活用できることになる。

 なお、5年後に1階部分のみそのままつみたてNISAへの移行も可能となっているが、新NISAも現行のNISAと同じく、つみたてNISAとの併用ができないことには注意したい。中期の投資運用目的としての新NISAと、長期の投資運用目的としてのつみたてNISAの位置づけは変わらず、我々はどちらかの口座を選ぶことになる。

 ここまで、一般のNISA、廃止予定のジュニアNISA、つみたてNISA、そして新NISAの解説をしてきたが、最も気になるのは「損をしないか」ということだろう。もちろん、投資運用には運用損を出してしまうことも十分にあり得ることだ。

 一方で、今回の制度は、短期の運用損に目を向けず、より長期間に渡って投資運用をしてほしいという政府の意向ともいえる。日経平均はバブル期の1989年12月29日に史上最高値38,915円をつけたが、その後2000年までは15,000円から20,000円台で推移した。

 さらにリーマンショックなどで、2009年3月10日はバブル後最安値である7,054円まで日経平均株価は下落したが、2020年9月現時点での日経平均株価は約23,000円である。つまり、過去20年間に渡って株価を持ち続けていた場合、たしかに半値以上目減りをした時期はあっても、最終的には利益となっているということだ。

 目先の損得ではなく、ある程度の値動きを許容した上で、貯蓄の一環と割り切って長期の運用投資を行うことで、利息がほとんどつかない預金や国債よりも効率良く資産を増やすことができる可能性が高くなる。

 少子高齢化による年金運用難や、コロナウイルスによる経済打撃に対する増税を将来のいずれかに控える中、子どもたちへの未来や自分自身の老後を守るためにも、NISAを利用した長期投資運用を始めてみるのも良いのではないだろうか。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る

関連記事