ホンダの新型「N-ONE」、中身一新 6速MT追加でN360を思い出す

2020年9月22日 15:40

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新型「N-ONE Original」(画像: 本田技研工業の発表資料より)

新型「N-ONE Original」(画像: 本田技研工業の発表資料より)[写真拡大]

 2代目となるホンダの新型N-ONEが公開となった。今回のモデルチェンジは、運転支援システム「Honda SENSING(ホンダセンシング)」の全車標準装備が目玉であると捉えるべきだろう。エクステリアデザインについては、かつての名車「ホンダ・N360」を思い出させるデザインを踏襲して、僅かな変化をつけて新しさを出している。

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 ホンダ・N360を思い起こせば、ホンダが4輪車に進出する本格的な第1歩であったと位置づけられる。それまで2輪車、軽トラック、そして2座席オープンスポーツはあったが、本格的な市場占有を狙う車がN360だった。1967年当時、それまでのF1参戦とホンダS500、S600、S800と続いたスポーツカーのイメージであった。そのホンダが実用車の軽四輪セダンを発売するので、注目が集まったのだ。

 何しろホンダと言えば、とんでもない夢を日本人に与えてくれた存在だった。戦後焼け野原の中であったにもかかわらず、2輪の「マン島TTレース」、4輪車「F1グランプリ」に挑戦する企業だった。だから、現代の軽四輪車と小型実用車のイメージとは全く反対の印象だ。

 そのホンダが世に出した「N360」はその名の通り、当時、軽四輪自動車の排気量制限360ccで最高出力31ps/8,500rpmを絞り出し、ユーザーの期待を裏切らなかったのだ。他メーカーが20ps程度であったのと比較すると、驚きが想像できるであろう。

 それだけではなく、パッケージングでは当時のミニのように室内空間を出来るだけ大きく取り、合わせて走行性能はスポーツカー並みと、現代のセダンに繋がる新しさを出してきたのだ。その狙いは見事に当たり、若者でも手の届く価格であったため、ホンダN360の改造車を駆る暴走族(当時、カミナリ族)が増えてしまった。

 さて、今回公開された新型ホンダ・N-ONEには、全車速対応型のアダプティブクルーズコントロール(MT仕様は除く)や、パーキングセンサーシステムが標準装備され、上級車と比較してそん色ない装備となった。安全性に関わる装備は、車格で装備の差をつけるべきではないので歓迎すべきことだ。

 最上級グレードのRSには6速MTが追加され、N360を知る者としてはうれしい限りだ。これを機会に、ホンダはスポーツカーメーカーであり、また技術的に進歩したユニークなクルマを造るメーカーであると、若者たちのイメージを一新してほしいと願うものだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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