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多読は外国語習得に効果絶大! 多読で得られる5つのメリット
前回は、読書は「ワクワク効果で記憶力が高まる」ため、外国語習得に最適であることを説明した。また、ワクワクする読書に最適な作品として、中国の著名なノーベル賞受賞作家「莫言」の作品《白檀の刑》を紹介した。
【こちらも】中国語力を飛躍的にアップする、ノーベル賞作家・莫言の作品「白檀の刑」
外国語を正しく聞き取るには、ウエルニッケ感覚性言語野に神経回路網から形成される言語の中枢を作ることが必要だからだ。それに加え、多読は外国語学習で欠かせない、「母語の習得に近い、フレーズで覚える繰り返し学習の環境」が得られるため、下記のメリットがある。
1. ワクワク効果で記憶力が高まる
2. 未知語推測訓練ができる
3. 動詞が習得できる
4. 文法(統括構文)が習得できる
5. 語彙力がアップする
前回は1について詳しく述べたので、今回は、2以降のメリットについて説明する。
●2. 未知語推測訓練ができる
外国語文章の意味を正しく掴むためには、未知語を推測する力が必要だ。そして多読をすれば、効率よく未知語推測力をアップすることが可能だ。
通常、新聞・雑誌の内容を正確に把握するには98%の語彙が理解できている必要があり、それには5000-8000語の語彙力が必要と言われている。しかし、未知語推測訓練でトップダウンリーディング(蓄積した知識を活かして内容を予測したり、新しい言語情報に照らし合わせながら予測を修正したり、確認したりする読み方)を習得すれば、理解できる語彙が全体の95%でも意味を正確に理解できるようになる。この場合、語彙力は3000語で足りる。
●3.動詞が習得できる
日本人は動詞の習得が苦手と言われている。英語でも、中国語でも、名詞や形容詞はすぐに出てくるのに、動詞と適切に結び付けられないため正しい文章が構成できない。多読をすれば、名詞や形容詞を正しい動詞と適切に結び付ける力が自然に身につく。
●4.文法(統辞構造)が習得できる
会話文をリアルタイムで構成していくためには、統辞構造に関する言語知識を自在に使いこなす必要がある。多読多聴は効率よく統辞構造を頭に叩き込んでくれる学習方法だ。
●5.語彙力がアップする
語彙知識、語彙力は、「読む・聞く・話す・書く」の4技能の運用能力を十分に発揮するための基本的能力だ。つまり、語彙知識、語彙力が少なければ、外国語運用能力を高めることができない。多読は文章や文脈の中から重要な語彙を自然に繰り返しインプットできるので、効率よく頻出単語が記憶できる。
学習初期における多読は神経回路網形成に必須であり、効率よく外国語を習得するために重要だ。そして、その後も継続して多読を行えば、動詞や統辞構造の習得、語彙力アップ、未知語推測能力も向上できる。
多読で最も重要なポイントは、自分のレベルにあった本、そして自分が本当に読みたい本を選ぶことだ。楽しい学びであれば、記憶効率も上がり、継続も可能になる。(記事:薄井由・記事一覧を見る)
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