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マックスバリュ東海のドミナント戦略に注目したい
8月1日に開店したマックスバリュ藤枝薮田店。(画像: マックスバリュ東海の発表資料より)[写真拡大]
新型コロナウイルス禍はスーパー、とりわけ食品スーパー業界には好影響をもたらしたとされる。不急不要の外出自粛⇔巣籠り生活(在宅勤務)⇔外食敬遠といった事態から、各社の収益が押し上げられたと指摘されている。
【こちらも】28期連続増益を続けたヤオコーの何故
6月30日の企業・産業欄に、「28期連続増益を続けた(食品スーパー)ヤオコーの何故」を投稿した。3月期決算企業の連続増益ランキング1位:ヤオコーの背景を記した。そんなヤオコーで見ると2月から7月までの既存店売上高は、毎月前年比2桁の伸びを示し6カ月間の平均で14.6%増となっている。
私にとり、そんな食品スーパーにあって注目したい1社が昨年9月に登場した。「マックスバリュ東海」と「マックスバリュ中部」の統合で生まれたマックスバリュ東海である。商圏は静岡・神奈川・山梨・三重・愛知・岐阜・滋賀の7県に及ぶ。同社の2月から6月までの既存店売上高も、5カ月平均で前年同期比9.1%の増加を示している。だが私がマックスバリュ東海に興味を抱いた理由は中計で示した「積極的な店舗拡充/ドミナント効果の徹底追及」にある。
至2022年度の中計では「店舗投資に軸足を置いた積極的な成長投資」が謳われ、「新店・既存店改装に約260億円を投じ、3カ年の改装店舗数約65/新店出店数約40」の予定を公にしている。
そして注目したいのは、新店約40店の約6割を「愛知県三河と静岡県中西部を重点エリア」としている点だ。このエリアは旧マックスバリュ東海と旧マックスバリュ中部の商圏の境目に当たり、店舗数の少ないいわば空白地域に当たる。シームレスな店舗展開で「ドミナンの形成」を図っていこうというわけだ。実現に向けて神尾啓治社長が公言している戦略は、極めて合理的である。
「1つのエリア内に複数タイプの店舗を展開する。客が毎日買い物をする地域密着型として、店舗面積約400~600坪程度の店を置く。その隙間に約150~200坪の小型店を配置する。都心部や行政の中心部には、地域密着型店舗の商品より上質・高付加価値の商品を提案する600坪以上の広さを持つ旗艦店を置く」。
統合から1年近くになり、その(相乗)効果は表れ始めている。前2020年2月期の営業収益は前期比19.9%増、そして売上高営業利益率は0.5%上昇している。今期も「23.7%増収、17.5%営業増益、売上高営業利益率2.5%」計画。ドミナント効果の浸透は、マッックスバリュー東海の一層の伸長にとり大きなポイントとなる。
同社はイオン傘下。あくまで「好き嫌い」の範疇だが「イオン傘下」の5文字が嫌いだ。上納金(好配当)を強いられるからだ。本校作成中の時価に対する配当利回りも2%を悠に超えている。まあ、それはさておくとしてもマックスバリュ東海のドミナント戦略の行方はしっかりと見定めたい。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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