社会人教育にも使える やる気と自立を促す正しい子どもの褒め方とは

2020年7月14日 08:04

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 子どもがテストで良い成績を取ってきたときなどに、親が「よくできたね」「えらいね」と褒めることがあるだろう。褒めるという行為は一見承認欲を満たして良い行為を促すように思えるが、安易に使うと相手を依存させてしまう危険がある。

【こちらも】子どもを安易に褒めるのは危険 部下の教育にも共通する正しいコーチングとは

 一方で正しく褒めることによって自分のしたことへ価値を見出し、自立を促すこともできる。正しく褒めるというのは相手の行為を評価するのではなく、行動や内面を認めることである。

■安易に褒めることは自立を妨げる

 安易に褒めると相手を依存させてしまうとはどういうことか。それは「人に褒められたいから良い行動する」という、行動原理を生み出してしまうからである。子どもをお菓子やおもちゃで釣ることと同じで、なぜそれをすべきなのかまで考えさせることができない。褒められたり褒美をもらうことでしか行動ができなくなってしまうのだ。

 また、褒められることに依存してしまうと自分自身の心の欲求に無関心になってしまう。本当は自分はどうしたいのかを感じ取ることができず、相手の顔色を窺うことが習慣になってしまう。そうするとストレスを溜めやすくなったり、言われたことしかできなくなってしまうのである。

■良いことをした人への正しい褒め方とは

 正しい褒め方をすれば相手の自立を促しつつ、承認欲を満たしてあげることができる。それは「えらい」「よくやった」という言葉を使わずに、相手の行動そのものを認める言葉をかけてあげるだけだ。

 例えばテストで90点を取ったとき、「90点も取れてえらいね」と言うのではなく「今回は90点も取れたね」とだけ言うのである。これだけでも相手は自分の努力が承認されたと感じて十分に嬉しく感じられる。そして褒美をもらったような依存性は感じられないのだ。

 さらに言うと、成果や行動ではなく相手の内面を認めるような内容だとさらに良い。成績の例であれば、成績が上がったことを褒めるのではなく、それに向けて頑張ってきたことや真剣になれたことなどを認めるのである。ここでも「えらい」という言葉を使うのではなく、あくまで承認するという点に留意すると良い。

■評価するのではなく認めること

 褒めるという行為は、「上の立場の人が下の人のことを評価する」というニュアンスをどうしても含んでしまう。褒められた相手は自分のことを評価されるべき下の人間と思ってしまうし、周囲の評価軸で自分自身を測ってしまう。自立を促すためには評価ではなく承認することが重要なのだ。

 しかし、相手の内面を承認すること言うのは、普段から相手をよく見ておくことが必要になってくる。そして承認によって変化が起きるにはある程度の時間が必要な場合もある。自立した人間へと教育するには、根気よく付き合っていかなければならない。(記事:双風サキ・記事一覧を見る

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