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ROEを投資対象選別の物差しとする具体例
ROE(自己資本利益率)。機関投資家や投資ファンドが銘柄選定に際し、重宝している尺度である。「純利益÷自己資本」で算出する、企業の財務分析法。言い換えれば好財務を背景に収益を着々と積み上げる素地を持つ企業、を見つける物差しと言える。
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高ROE企業は「儲け上手な企業」などとも称される。欧米の上場企業に比べ日本の公開企業のROEは相対的に低いと言われる。大雑把に現状では「10%以上」が望まれる水準とされる。
ROEから投資先企業を選択するのも一法。前期で「10%」を大きく上回り、かつ今期も2期連続して向上計画の銘柄を探し出してみた。
出会ったのが、手間いらず(6月期決算)。ROEは前期18.6%、今期予想21.6%。旧社名は比較.com。主業はホテルなど宿泊施設向け予約管理システムのアプリの販売。施設を対象にしたネット予約事業も手掛けている。
収益動向は順調。前期の「21.0%増収、23.9%営業増益、29.2%最終増益、4.5円増配14.5円配」に対し今期は「25.2%の増収(17億200万円)、31.6%の営業増益(11億6300万円)、30.8%の最終増益(7億5900万円)、6.5円増配26.5円配」計画。そして5月1日発表の第3四半期時点の計画比進捗率は「74%、76%、77%」。
新型コロナウイルス禍の影響を感じさせない。手間いらずでは「ネット予約事業で影響はあったが軽微」とする。要は経営の軸足が宿泊施設の「予約・管理」に代表される、アプリ販売に置かれている結果だ。合理化が必須の今だからこそ、ホテル等の需要は高まっている。導入で、どんな体制が整備されるのか。例えば・・
★予約の管理業務に必要な「在庫(部屋の有無)・料金・予約の有無」が一画面で一括でき、自動的に「販売(予約)停止」の措置がリアルタイムで行える。人手・筆記用紙/器具は一切不要。
★各予約サイトからの一元管理が可能。つまり、競合他社の販売価格の推移がチェックできる。
★在庫数や他社の情報に応じ、販売価格の調整が可能になる。「値下げ/値上げ」が、自動的に調整される。
★団体宿泊予約も一元管理できる。
そして手間いらずでは、新たな販売チャネルとの連携による集客機能を強化するため連携策に積極策を執っている。前期実績を見ても『スカイチケット(航空券や宿泊等の予約サイト:アドベンチャー社運営)』、アジアに強いホールセラーやオーマイホテルアンドコーと連携を開始。また主軸の『TEMAIRAZU』シリーズとして手間いらずminiを開設。小規模宿泊施設や民泊を複数運営している事業者向けビジネスにも着手した。
確かにROEを投資対象選別の一つの切り口とすることは興味深い。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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