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ショック相場でPERは役に立つのか?
●コロナショックでのPER
新型コロナウイルスの感染拡大によって、3月には日経平均も一時1万6552円83円を記録し、3年4カ月ぶりの安値水準となった。株価の割安度を示す株価収益率(PER)は一時10倍台(加重平均)を記録した。
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今回のコロナショックで潤った企業もあるだろうが、多くの企業が業績にも悪影響が出ている。通常時なら、PERが銘柄の割安度を判断材料になるが、今回のような先が見えない相場になった時には役に立つ指標なのだろうか?
●そもそもPERとは?
会社の利益に対して、株価が割安なのか割高なのかを判断する指標が株価収益率(PER)である。
計算の仕方は、株価を1株当たりの純利益(EPS)で割る。純利益が1,000万円で、発行株式数が10万株なら、EPSが100円となる。株価が1,000円ならば、1000÷100で10(倍)となる。
純利益に対して、株価が何倍かを示している。
倍率が低ければ割安で、高ければ割高となる。日本の企業はPERが15倍くらいの所が多い。PERが10倍くらいなら割安で買いと判断されるだろう。
●ショック相場にPERは不要?
平常時の相場なら、PERは便利な指標となる。しかし、今回のようなコロナショック相場ではあまり役に立たない。
不況時には、PERは異常に高い数値になる。2008年のリーマンショック後の2009年5月には、米国のS&P500で123.73倍を記録したことがある。
セオリー通りなら、PERが高くて割高なので買わないという選択肢になるが、その後株価は10年間で3倍も上昇したため、買わない方が損している。
今回のコロナショックでは、業績や決算が出そろう前から株価が売られ、短期間で戻す局面もあり、株価もPERも乱高下する。感染拡大がいったん収まっても、また感染が拡大したり、今までと違う地域で発生したりすれば、株価が先行して売られる可能性がある。
各国の経済活動の再開も徐々にしかできず、再開が後回しになっている業種でも、株価が上れば、PERは割高になる。収束が見えず、需要の回復も見込めない中では、EPSの予測も困難でPERで株価は判断しづらい。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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