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コマツのスマートファクトリー (3) 中間在庫を無くす努力が全て
■コマツ生産技術センタ設立は1975年
「生産技術センタ」がコマツに設立されたのが1975年である。そのころちょうど、筆者はコマツの生産技術課長と技術的論争を行った記憶が鮮明だ。当時のコマツの生産技術は、日本の建設車両メーカーの中では群を抜いていた。別の建設車両メーカーの系列企業として、重要な部品のサブアセンブリまでを筆者の工場が担っていたのだが、コマツと取引を開始すべきか否かを検討している時期だった。
【前回は】コマツのスマートファクトリー (2) 【前置き】誤解するので読まないでほしい
当時でも資金豊富だったコマツ本社なので、設備でも豊富な展開をしていた。筆者の工場は、コマツ競合他社の系列企業とはいえ、親会社の資本が入っていても少額であり、そのほとんどを自己資本で賄っていたため、設備投資資金はコマツ本体に比較すれば微々たるものだった。
それでも、その当時のコマツの生産技術の基本は「ロット生産」であり、まだ良く知られていなかった「トヨタかんばん方式」の「多種少量生産」ではなかった。しかし一方、こちらは資金難で、設備投資資金を減らす目的からも「考え方」の革新を進めており、偶然に「トヨタかんばん方式」に近い概念を実践し始めていたのだ。そこで、「トヨタかんばん方式」の最大の魅力は、「投資資金を最小にできる」ことに気付いていた。
■中間在庫を無くす努力が全て
筆者の工場とコマツで同じ工作機械2台を用いて、同じような部品を加工している部品があった。具体的には「中型機のハブの旋盤加工」である。両者ともに、当時最先鋭だった同じく2台の大型NC(数値制御)旋盤を使い、ほとんど同じ形状・重量のハブを切削していた。
その時、コマツは材料を加工機に供給するローダーを、切削するNC旋盤と同じぐらいの資金をかけて自動化していた。こちらはコマツのように2台を1工程2工程と分担して、2工程で使用するのではなく、1台ごと2工程を1個ずつ連続して加工してしまう方式をとっていた。「工程結合」であり、これが要である。特に、重量物生産では要の考え方と言える。
それは、2工程を分けて2台で行うと、工数差が出て中間在庫がどうしても必要で、1個60kg程度の400個ほどの置き場が必要になってしまう。それは移動に2倍の手間暇と一時保管場所、管理人手間、クレーン、フォークリフトの運搬手段、500坪ほどの土地と、天井走行クレーンが走る重量鉄骨造りの工場建屋など、かなり大量の資金が必要となってしまう工程だった。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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