大学入試、「骨太なモチベーション」が合格を勝ち取る!!

2020年6月13日 20:13

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■莫大な演習量と集中力、土台にあるのはモチベーション

 長年、大学受験生と向き合ってきて、つくづく考えるのは、「結局、アタマの良し悪しじゃない、モチベーションの高い低いだ」ということだ。

【こちらも】受験生なら机の上にスマホを置くな

 以前の記事で「骨太な志」という記事を書いたが、AО、推薦、一般入試に通じていえることは、モチベーションの強さと第1志望校合格は比例するということだ。難関大学をとおていく受験生たちは、莫大な演習量を集中してこなし、合格を勝ちとる。それを支えているのは、粘り強い精神力であり、さらにその土台には、「骨太なモチベーション」が確かにある。

■マズローの欲求5段階説

6. 超越的自己実現の欲求
5. 自己実現の欲求
4. 承認の欲求
3. 所属と愛の欲求
2. 安全の欲求
1. 生理的欲求

 有名な「マズローの欲求5段階説」だが、晩年にマズローが唱えた、5段階を超越した6段階目「超越的自己実現の欲求」というのが、ここでいう「骨太なモチベーション」である。第1志望校を突破していく受験生たちに共通しているのは、「社会の中で自分はどうあるべきか」「社会に対してどう貢献していくのか」18歳なりのビジョンを明確に持っていることだ。

■サイテーサイアクのケースは「親のいいなり」

 家が開業医だから、医学部に「行かなければならない」という志望を「させられている」受験生は、本当に悲惨な結果になる。2浪3浪ですめばいいね、というケースだ。人生で最も柔軟性もあり、吸収力も高い時期を、受験勉強などでつぶしてしまう。もっと学ぶべきこともあるのに。

 親が医者でもないのに、それでも医学部に行きたい、最難関の国立医学部をとおっていく受験生には、やはり「骨太なモチベーション」がある。「貧しい国の子供たちに医療の手をさしのべたい」といったものだ。

【参考】マズローの法則とは? 知っておくべき5つの「欲求」(STUDY HACKER)

 何も、医者という特殊なケースばかりではない。地方の国立大学を目指す受験生にもありがちだ。「地元の国立大学の推薦入試を受けたい」「なぜ?」「将来、公務員になりたいから」というものだ。本人は自分の志望だと思っているので、親に「言わされている」という自覚がない。

 「国家公務員になりたい、ダメなら都庁の職員に」「県庁に勤めたい、ダメなら市役所に」バリエーションはさまざまだろうが、これらの志望に共通しているのは、5段階欲求でいえば、第1、2段階、せいぜいがんばって4段階の承認欲求だろう。モチベーションのレベルが低いということだ。

 「公務員」という職業はない、とさんざん生徒に言い続けてきた。国をこうしたい、地域をああしたい、そのデザインを描ける仕事が役所にある、結果としてその仕事が「公務員」なだけである。

■レベルの高い欲求が持っている「持続性」

 「公務員になりたいから」というレベルの低い欲求で、競争倍率3倍前後の国立大学の推薦入試をとおるはずもないし、受験勉強の下支えになるはずもない。なぜなら、「食欲」「排泄欲」などの低いレベルの欲求は、瞬発力があるものの、満たすことは簡単だし、満たされると欲求は失われる。

 それに対して、高いレベルの欲求は、24時間、365日失われることはない。おそらく、その人を一生支え続けてくれるだろう。だから、「この学生がうちの大学に来たら、きっと能力を身につけて社会に出ていくだろうな」推薦入試を受けてもとおっていくし、莫大な演習量に耐えて一般入試もとおっていく。(記事:大学受験国語のフットプリンツ 谷村長敬・記事一覧を見る

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