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島津製作所のコロナ検出試薬キット、唾液を用いた検査も可能に
新型コロナウイルス検出試薬キット(画像: 島津製作所の発表資料より)[写真拡大]
島津製作所は26日、同社の提供する新型コロナウイルスの検査試薬で、検体に唾液を用いることも可能であると発表した。従来は鼻などの粘膜を採取してウイルスの有無を調べていたが、唾液を検体としたPCR検査を行ったところ、粘膜と遜色ない精度でウイルスが検出できることが判明。今後、試薬の検査対象には唾液も加えられる。
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島津製作所が販売している製品は、「新型コロナウイルス検出試薬キット」。4月20日に発売された。製品にはAmpdirectと呼ばれる技術が用いられており、RNAの精製をしなくても検体から直接PCR検査が可能であるのが特徴。およそ70分でウイルスの有無を調べることができる。
鼻などの粘膜を採取してウイルス感染を調べる従来の手法では、採取中に感染者が咳やくしゃみをした場合、二次感染を誘発する可能性があることから、医療従事者へのリスクが指摘されている。そこで日本医師会の提案により、北海道大学病院の協力で唾液による検査の精度が評価された。その結果、唾液を検体としてもウイルス検出の精度は同程度であることが判明し、今回の発表に至った。
唾液を用いたPCR検査は、鼻などの粘膜を用いる従来のPCR検査と同じ機器を使用して行うことができる。精度に遜色がなく、二次感染のリスクを抑えることができるため、今後の検査機会の拡大が期待される。
ただし5月26日時点で、唾液を検体とした検査は保険診療の対象とはなっていない。同製品を用いて鼻などの粘膜を検体とした検査を行う場合は、保険診療の対象となる。
島津製作所が提供する製品を使用すると、1つのキットにつき100回の検査が可能。発売以来2000キット以上が提供されている。今後も需要の拡大が見込まれることから、当初は月間で1000キットの生産を目標としていたところ、生産量を3000キットに引き上げることも同時に発表された。
試薬キットは医療機関等への提供のみでドラッグストアなどには流通しておらず、一般の個人が私的に入手して検査を行うことはできない。(記事:万嶋せら・記事一覧を見る)
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