NECと山形市、AIで保育園の入園選考を支援 実証実験で作業時間9割削減

2020年5月17日 19:12

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実証実験のイメージ。(画像: NECの発表資料より)

実証実験のイメージ。(画像: NECの発表資料より)[写真拡大]

 NEC、NECソリューションイノベーター、山形市の3者は15日、AIを活用して、保育園の入園選考をサポートするマッチングシステムの実証実験を行ったと発表。2019年4月から2020年2月にかけて行われた実験では、人手で作業を実施した時と比べて99.3%が一致した一方、作業にかかる時間は9割削減されたという。申請書の入力や、複雑な条件を考慮しながらの選考作業など保育園の選定作業には多くの労力を必要とするが、このシステムを使用することで保育園選定業務の効率化が期待できる。

 近年、地方自治体は労働人口の減少や歳入の減少などにより、業務効率化や生産性向上が求められている。保育園入園の選考業務においても同様で、入園選考の申請書類の入力をはじめ、事務量が多い。また入園の優先順位や兄弟姉妹の入園状況など、職員が複雑な条件を考慮して選考しなければならず、選考作業においても多くの時間を要していた。

 山形市においても同様で、保育園入園の選考業務においては十数人で数日かけて行っており、業務効率化が課題となっていた。

 NECとNECソリューションイノベーターは、AIを活用した保育園の入園選考をサポートするシステムを開発、山形市とともに実証実験を行った。

 職員が申請書をもとに保護者が希望する保育園や家庭状況などをシステムに入力。配転基準、優先順位、同一保育園への兄弟姉妹の入園希望など、さまざまな条件を組み合わせてAIが判断。児童を自動的に保育園へ割り当てる。

 実証実験の結果、人手による選考結果と比較して93.3%が一致しており、選考にかかる時間は9割削減することができた。また、選考過程においても判断根拠を可視化することができるため、保護者からの問い合わせに対しても根拠をもって回答可能になるという。

 NECソリューションイノベーターはこの実証実験の知見を活かし、5月に「NEC 保育園AIマッチングシステム」として製品化。また、このシステムは地方自治体の福祉サービスに対応したNECの「GPRIME 福祉総合システム」とも連携する。(記事:まなたけ・記事一覧を見る

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