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アラスカ州の恐竜化石の産地。星がハドロサウルス科の産出地。(写真:北海道大学の発表資料より) [写真拡大]
北海道むかわ町で2013年に発見された恐竜化石は、新種カムイサウルスであることが2019年に発表された。北海道大学は7日、カムイサウルスが属するエドモントサウルス族の植物食性恐竜が、北環太平洋沿岸に広く分布していたことを発見したと発表した。約6,900万年前の白亜紀に米アラスカ州北部の恐竜化石を再研究した結果、判明したという。
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■疑問視されてきた米アラスカ州の恐竜化石
北極圏は気温が低く、日照時間が制限されているため、生物にとって餌は非常に限られている。白亜紀は現在よりも気温は高かったが、生物の生息にとっては厳しい環境だった。だが北極圏では近年、ティラノサウルス類ヌークサウルスや、角竜類パキリノサウルスなど、数多くの骨格化石や足跡化石といった恐竜化石が発見されている。
多くの骨格化石が発見されているのが、米アラスカ州のリスコム骨化石密集層だ。6,000以上のハドロサウルス科の恐竜の骨がノーススロープ郡にあるこの層から回収されたものの、大人の骨がほとんど発見されていない。また骨の形状が成長とともに大きく変化するため、その有効性が疑問視されてきた。
■厳しい環境でも生息できた植物食性恐竜
北海道大学、岡山理科大学、米ペロー自然科学博物館などの研究者から構成されるグループは、同地域から回収されたハドロサウルス科ウグルナールク属の再研究を実施した。その結果、エドモントサウルス属に固有な特徴をもつことが明らかになった。
また成長によって変化する特徴があることも判明した。これまで米コロラド州北部からカナダ・アルバータ州南部にかけて、エドモントサウルス属が分布すると考えられてきたが、北緯70度まで生活圏を広げていたことが明らかになった。
アラスカ州のエドモントサウルス属や、北海道のカムイサウルス属はほぼ同年代に生息していた。このことから、エドモントサウルス族の共通祖先は北極圏の環境に適応し、アラスカを通じて2つの大陸にまたがって広く分布していたと考えられる。これは、北極圏の厳しい環境が移動の障壁にならなかったことを意味するという。
アラスカに生息したハドロサウルス科の植物食性恐竜がどのように北極圏に適応し、生活していたのかについての議論が進展するだろうと、研究グループは期待を寄せている。
研究の詳細は、国際科学誌PLoS ONEに7日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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