三菱電機、多様な事業特性と世界に優れた技術力の結集で成長持続へ挑む

2020年5月4日 17:27

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 三菱電機は4月24日、新型コロナウイルス感染症向け支援金約1億円の寄付と、マスクなど必要物資の提供を行うと発表した。従業員からの寄付金と会社からの支援金を合わせて約1億円を医療関係者などへの活動支援金として寄付し、医療用マスク約10万枚、消毒液などを医療機関へ提供する。

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 三菱電機は1873年に岩崎弥太郎によって設立された三菱商会から独立した三菱造船が、1921年に電機部門を独立させたのが始まりである。1923年までに約1万台の扇風機を生産し、その後水車発電機、電気冷蔵庫、エレベーター、エスカレーター、ディーゼル電気機関車などを送り出した。

 2019年3月期の売上高は4兆5,199億円。部門別の構成比は、電力量計、産業用ロボット、配電用変圧器など産業メカトロニクスが28.5%、タービン発電機、大型映像表示装置、エレベーターなどの重電システムが25.2%、ルームエアコン、冷蔵庫、掃除機など家庭電器が20.9%。以下、人工衛星、伝送装置、レーダー装置など情報通信システムが8.3%、パワーモジュール、高周波素子、液晶表示装置など電子デバイスが3.9%、不動産、広告宣伝、金融などその他が13.2%を占め、多様な事業特性を持つ三菱電機の動きを見ていこう。

■前期(2019年3月期)実績と今期見通し

 前期売上高は4兆5,199億円(前年比1.7%増)、営業利益は前年よりも369億円減の2,904億円(同11.3%減)であった。

 営業利益減少の要因としては、FAシステムが不振で素材価格が上昇し成長事業への先行投資を行った産業メカトロニクスが447億円、売上減少と機種構成の変動により電子デバイスが127億円、本社調整その他で14億円の減益であった。

 一方、国内外の交通事業と国内電力の好調で重電システムが170億円、世界的空調機器の好調で家庭電器が39億円、システムインテグレーション事業の増加により情報通信システムが9億円の増益であった。

 今期第3四半期累計(4-12月)実績は売上高が3兆2,501億円(前年同期比0.4%減)、営業利益が1,822億円(同9.5%減)の中、今期は売上高4兆5,000億円(前年比0.4%減)、営業利益2,600億円(同10.5%減)を見込んでいる。

■経営戦略による事業推進

 グループ内外の力を結集した統合ソリューションを提供し、もう一段高いレベルの成長を目指す。

 1.グループ内外の連携による強みを生かし事業特性の異なる複数の事業群による成長牽引。

 ・重電システムは、昇降機のグローバル機種共通化によるビルシステム強化、鉄道の安全性、効率性追求による交通システム拡大、電力安定供給向け電力システム強化。

 ・産業メカトロニクスは、高効率機器供給で自動車機器のグローバル拡大。

 ・家庭電器は、循環型ビジネスの強化による空調冷熱システムの拡大。

 2.特許出願件数が2019年まで5年連続日本企業1位、2年連続世界2位の技術力を生かした技術シナジー、事業シナジーによる成長牽引。

 ・重電システムで、ゼロエネルギービルの設計から運用保守サービスまで一括提供。

 ・産業メカトロニクスで、パートナーとの連携によりスマート工場化の加速。

 ・各事業の特性を生かして、GPS、センシング技術、車輛制御技術、高精度3次元地図などを組み合わせた自動運転化社会実現への貢献。

 3.持続的成長に向けた適切なキャピタルアロケーション。

 ・成長牽引事業群を中心とした機動的設備投資。

 ・事業強化に向けた戦略的M&A、協業の推進。

 技術、サービス、創造力の向上により、活力のある社会への貢献を目指す三菱電機の動きを見守りたい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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