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BMWの「シルキー4」を知らない? (2/2) 『触媒を外したBMW・325の甲高い排気音』
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BMW・3.0CSを購入できずに悔しかったので、その後、BMW・850iを購入した。やはりV12気筒のエンジンも、回っている時にはモーターのように感じた。アイドリング時は、タコメーターを見なければエンジンが回っていることを確認できないこともしばしばだった。200km/h近くになると、ようやくエンジンが独特のうなりを繰り返しているのに気づくのが常だった。
【前回は】BMWの「シルキー4」を知らない? (1/2) なぜBMWは「シルキー6」なのか
しかし、BMW・V12気筒エンジンは危険だった。当時、電子制御が不慣れだったボッシュの制御プログラムの各種センサーが不良を起こし、「システムダウン」に繋がっていたためエンストを起こしてしまう危険な状態だった。それも、200km/h以上で巡行している時や踏切を渡っている時など、どの様な時でも突然止まってしまうのだ。
修理を依頼していたがBMWは直しきれず、「故障はない」として開き直ってしまった。これは30年ほど前には関係者の間では有名な話で、その後しばらくBMWは8シリーズを造らず、最近やっと復活させてきたのである。
BMW・850i で2万キロの走行を整備のために費やし、さらにサスペンションも取り換えなければならない状態にされてしまい、挙句の果て直進しなくなってしまった。確率は低いのだが、海外の自動車メーカーは故障が出ると厄介で、最後は責任を取らないのだ。
これには日本のPL法(製造物責任法)と海外のPL法の違いが災いしている。日本の場合は「消費者自身が異常を証明」しなければならず、証明できるデータを提出できないため消費者側からは訴えられない。事実上、日本では消費者保護が出来ていないのだ。
一方海外では、メーカーが「欠陥でないことを証明」しなければ損害賠償の責任が発生するので、メーカー側が警戒しているのだ。
話を元に戻そう。かつては「シルキー4」と言われるほど、「6気筒並みにスムーズな4気筒エンジン」がBMWの自慢であったのだ。ドイツ・バイエルン州ミュンヘンにある「BMW本社建物の円筒が4本立った姿」は、「4気筒を表している」とさえ言われている。
そのBMW自慢の「シルキー4(シルキーフォー)」は半世紀も前に使われていた。しかし、現在の若者は時代のそんな記憶を飛び越え6気筒回帰の希望を抱いている状態にあって、BMWエンジンの「シルキー6」しか知らないのだ。
このBMWの自慢話には背景がある。「BMWは半世紀前には小型車しか造っていなかった」が、ライバルの「ベンツは大型車しか造らず高級車としていばっていた」のに対抗して、BMWがそんな自慢話をしたのだろう。その後、「BMWは7・8シリーズのような大型車」を、逆に「ベンツはC・Aクラスなど小型車」を造るようになり、未だに四つに組んだまま競い合っている。
そんな中、年寄りの筆者は、「4気筒ながら6気筒のよう」と言われたBMW・シルキー4のふけあがる感触が忘れられず、BMW・325を駆ってしばらく楽しんでいた。
今でも「最も好きな排気音は?」と聞かれると、『触媒を外したBMW・325の甲高い排気音』と答えている。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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