【どう見るこの相場】急かず焦らずリスクを最小化しつつ谷底からの底上げに期待

2020年3月16日 09:01

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■スモールは「ビューティフル」か?敢えて逆張り銘柄の逆張りにリスク最小化ルート

 まるで『シジフォスの神話』である。神々を欺いた報いで大きな岩を山頂まで運ぶ罰を受けたシジフォスが、やっと山頂まで押し上げると、岩はその重みで谷底まで転げ落ちてしまう。シジフォスは、再び谷底から岩を押し上げるが、山頂に運び終わった途端に同じことが繰り返され、その苦行が終わることがない。この神話のプロセスは、現在の世界のマーケットそのものである。

 新型コロナウイルスの感染拡大が、パンデミック(感染爆発)へと深刻化して世界のマーケットを揺さぶり、その急落ぶりは、史上最大、史上2番目などのヘッドライン付きとなった。この市場崩壊を突き付けられて各国政府が、非常事態を宣言して防疫体制を強化する一方で金融市場の安定策、景気の下支え政策を相次いで打ち出し、株価もリバウンドするが、それを上回る感染拡大のスピードと広がりが、これもまた史上最大などのヘッドライン付きで株価を急落させているからだ。

 前週末13日の欧米株式の急反発、なかでも米国ダウ工業株30種平均の過去最大の1985ドル高は、今度こそ新型コロナウイルスを抑え込み、大岩(株価)を山頂に押し上げくれる期待させてくれる。とくに3月15日には、FRB(米連邦準備制度理事会)が急遽、ゼロ金利政策導入を発表したことも加わり、週明けの東京市場は、ハイテク株や日経平均株価への寄与度の大きい値がさ株などの主力株の大幅リバウンドで始まる見込みだ。しかし、臆病者揃いのマーケットでは、しばしばちょっと風向きが変わっただけで上値の重さが意識されて、我さきに高値で売り抜けようとして株価がもんどりうって転げ落ちることも起こる。今度も、またパンデミックの動向次第ということだろう。

 ただ大岩が、谷底と山頂の間を何度も行ったり来たりする間に自ずと谷底確認の市場コンセンサスが形成されるのも、またマーケットの特性のはずだ。それがPBR(純資産倍率)1倍なのか、PBR0.8倍なのかは不確かではあるが、そうなれば、この市場崩壊から抜け出す才覚を働かす余地も出てくるというものだ。例えばである。押し上げるのが大岩で、その重さが山頂からの谷底に転げ落ちる要因となっているとすれば、持ち上げるのが小さな石ならどうかと試す次善策などである。小石ならその軽さから山頂から再下落しても、谷底までではなく3合目や4合目で踏み止まるかもしれないと想像を逞しくする類だ。かつてのオイル・ショック後の流行語でいえば「スモール・イズ・ビューティフル」である。

 そこで今週の当コラムは、このロジックに乗って大岩の主力株より小石関連株に注目することとした。逆張り銘柄の逆張りである。新柄コロナウイルスの大嵐が吹き募る今年1月この方、積極的な設備投資計画を発表した銘柄の数々である。3月10日に発表された今年2月の工作機械受注は、内外の設備投資意欲が減退して前年同月比30.1%減と2月として10年ぶりの落ち込みとなったが、そうした時期を設備投資の好機としていわば逆張りした銘柄だ。もちろん大それた設備投資額ではなく小石的なスケールにとどまるが、個別銘柄ベースでみれば業績の高成長や事業構造を革新するファクターを内包しているようでもある。投資採算的にもPER評価はともかく、PBR1倍を大きく下回る割り負け銘柄に限定してマークすれば、急かず焦らずリスクを最小化しつつ谷底からの底上げが期待できそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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