子どもと親との危険な距離感 子どもから遠すぎる親の特徴

2020年3月15日 07:58

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 親子関係に関わらず、良好な人間関係を育むには適度な距離感が必要なことは広く認識されているだろう。子どもと距離が近すぎることが問題なのは明らかだが、実は遠すぎることはさらに大きな問題を孕んでいる。

 親は子どものことを意思のある一人の人間としてではなく、自分を讃える装飾品のように感じているという特徴がある。しかも厄介なことに問題は表面化されにくく、これはどこにでも存在する決して珍しくないケースなのだ。

■遠すぎる親の特徴

 子どもから遠すぎる親にとって、子どもは「自分を賞賛してくれる存在」か「素晴らしい自分の一部」でしかない。「お母さんの料理が世界一美味しい」と親を賞賛することを求めているため、「他の人の料理が美味しい」など言うことは許されない。

 子どもへの評価は親自身の評価だと感じているため、子どもが失敗した時には自分の苦労や世間体を主張する。失敗した子どもがどう感じているかどうかには気が回らないのだ。

 またそういった親は、自身の関心のないことに真剣になっている子どもを茶化すことが多い。イラストやアイドルなど、好きなことについて熱心に話す子どもの話に、じっくりと耳を傾けることができない。それは親自身への賞賛や栄光にならないからだ。そんな子どものことを親は、「どうしようもない奴です」というように外で話しているかもしれない。

■遠すぎる親の元で成長する子ども

 遠すぎる距離感の親の子どもは、自分がどう感じているかよりも、他の人がどう感じているかに敏感になりやすい。相手がどう感じているかに関心を寄せており、常に気を遣ってしまうため人と気疲れしてしまう。自分が感情を表現したり、やりたいことを好きにしたりすることは、ワガママで良くないことだと思ってしまうことが多い。

■子どもに期待をかける時の着眼点

 子どもが親の期待に応えることができて、双方満足することができたとする。それでも子どもは「成績がよいから褒められただけ」という考えに縛られ、ありのままの自分を肯定することはできなくなる。成績が落ちることに敏感になり、少しの成績の振れ幅で非常にストレスを感じてしまうようになってしまう。

 親が子どもに期待をかけることや、子どもがそれに応えようと頑張ること自体は自然で喜ばしいことだ。着眼点は「それが親に役立つかどうかに関わらず同じ期待を寄せられるか」にある。子どもが将来どうなるかは誰にもわからないし、本人以外の人が定めることもできない。親は子どもが何者になるのか関心をもち、子どもが幸せになることを目的にしなければならない。(記事:双風サキ・記事一覧を見る

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