TDK、3Qは二次電池が高い収益性を維持し増収増益を確保 進展する新たな市場ニーズを先取り

2020年2月27日 08:36

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記事提供元:ログミーファイナンス

2020年3月期 第3四半期決算のポイント

山西哲司氏:本日はご多忙のところ、当社の2020年3月期第3四半期についての決算説明会に多数お集まりいただきまして、ありがとうございます。それでは私から、連結業績概要についてご説明いたします。

まず、決算のポイントでございます。米中貿易摩擦が本格化し、世界経済への影響が深刻化した第2四半期から当第3四半期においても、中国をはじめ世界経済の不透明感といったものが継続しております。当社が対象としている主要市場においても需要環境に大きな変化がなく、厳しい需要環境が継続するなかで、当第3四半期については前年同期比で増収増益を確保することができました。

当第3四半期の売上高については、前年同期比で1.4パーセントの増収、営業利益においては前年同期比で23.2パーセントの大幅増益を達成いたしました。また、当期9ヶ月累計ベースにおいては、売上については前年同期比で減収となりましたが、営業利益・税前利益・税後利益が過去最高を更新し、営業利益については9ヶ月累計で初めて1,000億円を突破いたしました。

需要動向については、全体的に前四半期と同様の傾向が継続しております。ただ、ICT市場においては、5G向けの需要が本格的に立ち上がってきており、5Gスマートフォン向け、基地局向けに二次電池、高周波部品、MLCC、インダクタなどの製品が売上を伸ばし、全社収益拡大に大きく貢献しております。

とくに二次電池においては、幅広い顧客基盤をテコに、前期の第2四半期のスマートフォン需要のピーク期を過ぎても高い収益を確保し、全社収益を牽引しております。一方、自動車および産業機器市場向けの販売は、中国をはじめとして世界的に需要の低迷が継続し、期初想定を下回る需要水準で推移しており、前年同期比で売上が減少しております。

その結果、高周波部品の増収増益を除き、受動部品の他の事業は前年同期比で減収減益となっております。また、センサ応用製品についても成長戦略製品であるTMRセンサ、MEMSセンサの売上は確実に成長をしているものの、温度センサ、ホールセンサといった、従来型のコンベンショナルなセンサの自動車向け販売が低迷している影響で、全体収益の改善は遅延しております。

短期的には世界経済の急速な回復は見込めない、という前提に立って、5Gの立ち上がりなどに見られるように、DX(デジタルトランスフォーメーション)、環境問題への対応の加速という意味でのエネルギートランスフォーメーションなどといった潮流が、さらに進展していくなかで生まれてくる新たな市場ニーズを先取りしながら、さまざまな準備を進めて今後のさらなる成長機会を確実に捉えてまいりたいと考えております。

2020年3月期 第3四半期(四半期)連結業績概要

業績概要でございます。対ドルおよび対ユーロの円高為替影響によって、売上高が約145億円の減収、営業利益で約15億円の減益影響がございます。売上高については3,556億円となり、前年同期比で1.4パーセントの増収、営業利益は404億円となり、前年同期比で23.2パーセントの大幅増加となり、増収増益を確保しております。

税引前利益は412億円、当期純利益は295億円、1株当たり利益は233円35銭となっております。為替の感応度については従来と同様、営業利益で円とドル1円当たりで年間12億円、対ユーロで約2億円と試算しております。

第3四半期各事業の状況(受動部品事業)

セグメント別の状況についてご説明いたします。当期より、インダクティブデバイスの一部製品をその他受動部品に組み替えておりますので、この第3四半期においては、前年の第3四半期と比較して売上が22億円減少、営業利益がインダクティブデバイスから4億円減少しております。

受動部品の売上高が983億円となり、前年同期比で7.9パーセントの減収、営業利益は106億円となり、前年同期比で27.9パーセントの減益、営業利益率は10.8パーセントとなっております。受動部品に影響を与える市況を俯瞰してみますと、自動車、産業機器市場の需要低迷に加え、欧米の大手代理店の在庫調整局面の影響が継続しており、中国を中心とした5G立ち上がりが本格化し、5G向けの製品の動きは活発化してきております。

セラミックコンデンサについては、自動車需要が低調な市況のなかでも自動車向けの売上は着実に増加しております。また、ICT向けは全体では横ばいというなかで、5Gの基地局向け販売は増加してきております。

一方で、代理店向けの販売が大きく減少して、全体では12.6パーセントの減収というかたちになっております。減収の影響で減益となっておりますが、高付加価値製品の売上構成の増加で平均単価はアップしたといった効果もあり、収益性は引き続き高い水準で推移しております。

アルミ・フィルムコンデンサについては、前四半期と同様に自動車向け、再生エネルギー向けなどの産業機器向け売上減少が影響して減収減益、インダクティブデバイスは、5G向け製品の増加で、ICT市場向けの売上は増加しております。

ただ一方で、自動車、産業機器向けの販売が低調に推移して減収減益、高周波部品は5G

事業の立ち上がりに合わせ、5G端末や基地局向けの販売が大きく増加してきており、増収増益となっております。

圧電材料部品・回路保護部品では、自動車需要減少の影響を受けていることや、ICT市場向けの売上の減少などにより、減収減益となっております。

第3四半期各事業の状況(センサ応用製品事業)

センサ応用製品事業でございます。売上高は203億円となり、前年同期比で3パーセントの増収、営業利益は前年同期同水準である、55億円の赤字が継続しております。InvenSenseの買収関連費用は前年から約2億円減少し、全体で約14億円が含まれております。

世界的に自動車および産業機器市場における需要の回復が見込めないなかで、温度センサ、ホールセンサといった従来型のコンベンショナルなセンサの売上については、前四半期から引き続き低調に推移しており、前年から売上が大きく減少して収益も悪化し、事業全体損益に大きな影響を及ぼしております。

一方で、大きな成長を期待している戦略製品については、TMRセンサは自動車向けで新規アプリケーションへの採用も進み、数量増加して着実に売上が拡大しております。。スマートフォン向けでも新モデルへの採用が確実に進捗しており、売上拡大に大きく寄与しております。

また、MEMSセンサについては、モーションセンサの新規得意先への売上は着実に増加しております。また、MEMSマイクロフォンについてもIoT向け、スマートフォン向けに販売を伸ばしております。マクロ経済低迷の影響もあり、全体の収益については一進一退の売上状況が継続し、収益改善が遅れておりますが、構造的には収益向上の基礎固めは進んでいると認識しております。

第3四半期各事業の状況(磁気応用製品事業)

磁気応用製品事業でございます。売上高が579億円となり、前年同期比で12.8パーセントの減収、営業利益は52億円で前年同期比で33.3パーセントの減益、営業利益率は9パーセントとなりました。

HDD用のヘッド・サスペンションの需要動向については、前年から大きく変化してきております。まず、コンシューマPC向けの2.5インチのHDDの記録密度が上がる一方で、数量は減少、PC向けのHDDドライブ用ヘッドの需要が急速に減少する一方で、データセンター向けのHDDドライブ需要の回復を背景に、ニアライン用のHDDドライブヘッドの需要は徐々に増加、ニアライン用のHDDドライブの記録密度も段階的に増加してきております。

そういった市況のなかで、HDDドライブヘッドにおいては、全体で前年比で約6パーセント程度販売数量が増加した一方で、HDDドライブ組立の一部製品終息に伴い、前年から売上が約40パーセント減少し、HDDドライブヘッド全体で約15パーセントの減収となっております。

HDDドライブサスペンションの売上については、サスペンション販売数量、金額ともほぼ横ばいで推移しております。一方で、サスペンションの応用製品についてはICT市場向けの販売が減少し、それによってサスペンション全体では約6パーセント減収となっております。

その結果、HDDドライブヘッド・サスペンション全体の営業利益については、サスペンション応用製品の減収減益、HDDドライブ用のヘッドの減収減益に加え、製品構成の切り替わり時期で平均売価の低下もあり、全体では減益となっております。

マグネットについては、HDDドライブ用磁石の撤退、産業用ロボット・工作機械向けの産業機器市場および自動車市場の需要低迷の影響を受け、売上が約14パーセント減収しております。営業利益については自動車向け製品の生産効率の向上といった効果もあり、前年同期と同水準の赤字で推移しております。

第3四半期各事業の状況(エナジー応用製品事業)

エナジー応用製品でございます。当期売上高は1,612億円となり、前年同期比で10.9パーセントの増収、営業利益は405億円となり、64.6パーセントの大幅増益となっております。営業利益率も25.1パーセントと、収益性も大きく上がってきております。

二次電池については5G需要の増加の影響もあり、中国スマホ市場向けの販売が前年から大きく増加し、その他地域の大手得意先向け販売も好調に推移しており、スマホ向け全体の売上が大幅に増加しております。また、タブレット、ノートブック向けの販売も堅調に推移し、ワイヤレスイヤホンなどウェアラブル向けのミニセルの販売も順調に販売を拡大しており、前年比で約15パーセントの増収となっております。

増収効果に加え、製品構成の好転、数量拡大に合わせたさらなる生産効率の改善効果、最低限の投資・追加投資を行うことでさらなる生産効率の改善、などといったことが相まって収益も大きく拡大してきております。産業機器用の電源については、景気減速の影響を引き続き大きく受けており、産業機器市場向けは売上減少で減益となっております。

セグメント別四半期実績

当期第2四半期から当期第3四半期のセグメント別の売上、および営業利益の増益要因についてご説明いたします。まず受動部品セグメントでございます。売上は第2四半期から36億円減少し、3.5パーセントの減少となっています。

セラミックコンデンサについては、5G基地局向けの売上が増加してきている反面、代理店向けの売上が大きく減少し、全体的に販売減少の傾向が出てきて減収となっております。

アルミ・フィルムコンデンサは再生可能エネルギー向けで若干増加傾向が見られるものの、産業機器向け全体では販売が減少、さらに自動車向けも減少し、コンデンサ全体では第2四半期から23億円減少し、5.8パーセントの減収となっております。

インダクティブデバイスの売上については、第2四半期から9億円減少し、2.5パーセントの減少となっております。5G端末向けの製品売上が増加してきているものの、ICT全体ではほぼ横ばいで推移しております。

また、自動車向けの販売も第2四半期からはほぼ横ばいで推移している一方で、産業機器向け売上が引き続き低調に推移していることにより、全体で減収となっております。

その他自動部品の売上は3億円減少し、1.1パーセントの微減となっております。高周波部品が5G端末および基地局向けに売上を伸ばしてきており、産業機器向け、自動車向け販売が低調に推移している圧電材料部品・回路保護部品の減収をカバーしている状況となっております。

受動部品の営業利益については第2四半期から8億円減少し、7パーセントの減益となっております。セラミックコンデンサおよびアルミ・フィルムコンデンサ、インダクティブデバイスについては減収の影響で減益となっております。

高周波部品は増収増益と生産効率のアップもあり、収益性も大きく向上しております。圧電材料部品・回路保護部品は減収による減益をコスト改善で吸収し、第2四半期からは横ばいとなっております。

センサ応用製品は売上が5億円減少し、2.4パーセントの減収、温度・圧力センサについては、温度センサが自動車需要低迷の影響をさらに受けており、全体で減収しております。磁気センサは、ホールセンサが第2四半期から自動車向け販売を若干持ち直している一方で、TMRセンサがICT向けの販売ピークの第2四半期から減少し、全体ではほぼ横ばいで推移しています。

MEMSセンサについては、マイクロフォンはほぼ横ばいで推移、モーションセンサは中国中小のスマホメーカー向けの需要が減少、といった影響で第2四半期から若干減少しております。

営業利益は第2四半期同水準の、55億円の赤字が継続しております。温度・圧力センサは減収で若干赤字、磁気センサは、ホールセンサが売上増加で赤字は縮小しているものの、全体では第2四半期並みの赤字で推移しております。MEMSセンサも赤字継続ながら、製品構成の好転やコスト改善などの効果で、若干赤字は改善してきております。

磁気応用製品セグメントは、売上は第2四半期から34億円増加し、6.2パーセントの増収となっております。HDDドライブ用のヘッドの売上は、第2四半期の販売数量指数89から、第3四半期は92となり約3パーセントの増加となっております。

HDDドライブ組立売上も第2四半期からは増加し、全体では約5パーセントの増収となりました。HDDドライブサスペンションでは、ニアライン用のHDDドライブ用サスペンションの売上が大きく増加してきており、サスペンション応用製品の減少があるものの、全体では14パーセントの増収となっております。

磁石の売上は約3パーセント減少、磁気応用製品の営業利益は第2四半期から17億円増加し、48.6パーセントの増加となっております。HDDドライブのヘッドおよびサスペンションとも増収増益となり、磁製製品は減収ながらコスト改善を進め、赤字が若干減少しております。

エナジー応用製品セグメントでございますが、売上は第2四半期から125億円減少し、7.2パーセントの減収となっております。二次電池がスマートフォン向け売上において、5G端末向けで中国向け販売が増加した一方、北米・韓国向けの販売は第2四半期の需要ピーク時期から減少し、全体では減収となっております。産業用電源は、第2四半期とほぼ同水準で推移しております。

営業利益については、第2四半期から20億円減少して405億円となりましたが、主な要因は二次電池の減収減益によるものです。

営業利益増減分析

営業利益の増減分析になります。76億円の増益の要因でございますが、受動部品の売上減少による減益の一方で、二次電池の増収により約112億円の増益、売価下落で約43億円の減益影響を、自動部品のものづくり力向上施策、二次電池のさらなる生産効率改善による合理化コスト改善効果の41億円によって吸収しております。

構造改革効果は約2億円、InvenSenseの買収関連費用の減少で約2億円の増益効果、二次電池の事業拡大に伴う管理費および開発費が約23億円前年から増加し、為替変動による減益15億円を含み、全体では76億円の増益というかたちになっております。

2020年3月期 第3四半期(9か月)連結業績概要

第3四半期9ヶ月累計の連結業績概要についてご説明いたします。売上高は1兆627億円、前年同期比では若干の微減となりました。営業利益については1,092億円となり、前年同期比で15.1パーセントの増益、税前利益は1,098億円、純利益は744億円で17.2パーセントの増益となり、売上減少ながら営業利益・税前利益・税後利益が過去最高を更新しております。

2020年3月期 連結業績及び配当金見通し

最後になりますが、通期の連結業績予想についてご説明いたします。今回は、10月に発表した通期見通しから変更はございません。前回の10月発表において、対象とする市場の需要動向の大きな変化を反映し、売上についてのみ下方修正いたしました。

その後、5Gの本格的な立ち上がりや半導体関連の需要回復など、一部需要環境の改善が見られますが、米中貿易戦争による中国ICT市場への影響などが不透明なこと、自動車・産業機器市場の需要動向、さらに欧米大手代理店の在庫調整状況を見ても、全体的には短期的な需要動向に大きな変化はないと想定して、今回は前回の発表値を据え置きといたします。営業利益・税引前利益・当期純利益についても、前回からは変更ございません。

第4四半期の為替レートについても、前回と同じ対ドルで108円、対ユーロで122円で想定をしております。配当金についても、期初予定どおり下期90円、年間180円を予定しております。

世界経済の先行きが非常に不透明ななかでございますが、期初発表の利益達成を目指すとともに、需要動向の変化を注視しながら成長機会を確実にキャッチしていくとともに、課題事業の収益改善施策を着実に推進し、来期以降のさらなる成長を目指してまいりたいと思います。

以上が私からの説明となります。ありがとうございました。

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