日立、IoTプラットフォームを中核とする顧客との協創により収益向上目指す

2020年2月17日 07:29

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 日立製作所は2月10日、ベトナムの金融機関VietCredit社と、AIを活用した金融サービスの提供に向けた実証実験を開始すると発表した。

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 一部店舗にタブレット端末を活用した自動契約システムを導入し、手軽に個人ローンの申し込み受付・契約を可能にするサービスや、AIを使ったスコアリングによるローン審査の実証を行う。

 このサービスはベトナムで初めての取り組みであり、今後事務作業のペーパーレス化を含め業務の効率化を推進する。

 日立は小平浪平が中心となり、1910年に久原鉱業所の修理工場として発足し、「技術の日立」にふさわしい製品を次々生み出してきた。

 2019年3月期の売上収益は9兆4,806億円。事業別の構成比は、鉄道運行関連・発送電関連・システムなど生活を支えるインフラの社会・産業システムが25%。金融その他分野でシステム構築、運用・保守・サポートなどITサービスを提供する情報・通信システムが20%。

 以下、半導体・ディスプレイ用材料、合成樹脂加工品、電線・ケーブルなどの高機能材料が17%、土木・建築、鉱山採掘に使う油圧シャベルなどの建設機械が10%、情報社会を支える半導体製造装置、計測分析装置など電子装置・システムが9%、先進車輛制御システムなどのオートモティブシステムが9%。キッチン・家事製品、住宅設備機器、冷凍空調機器などの生活・エコシステムが5%、不動産の分譲・賃貸・管理などのその他が5%と多彩な事業を展開する日立の動きを見ていこう。

■前期(2019年3月期)実績と今期見通し

 前期売上収益は9兆4,806億円(前年比1.2%増)、売上収益から売上原価、販売費、一般管理費を引いて算出した調整後営業利益は、前年よりも403億円増加で過去最高を更新する7,549億円(同5.6%増)であった。

 調整後営業利益増加の要因としては、システムインテグレーションなどの収益性改善で情報・通信システムが360億円、鉄道システムなどの売上収益増加で社会・産業システムが357億円、売上収益増加で建設機械が232億円の増益となった。

 一方、原材料高騰などで高機能材料が218億円、収益性悪化でオートモティブシステムが115億円、日立国際電気の売却で電子装置・システムが113億円、家電価格の下落で生活・エコシステムが26億円、その他と全社調整で73億円の減益だった。

 今第3四半期累計(4-12月)売上収益は6兆3,441億円(前年同期比6.5%減)、調整後営業利益4,456億円(同16.6%減)の中、今期は売上収益8兆7,000億円(前年比8.2%減)、調整後営業利益6,690億円(同11.4%減)を見込んでいる。

■中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)による推進戦略

 顧客とのデジタルソリューションを協創するIOTプラットフォームLumadaを中核に、社会・環境・経済価値向上により、売上収益年平均3%超、営業利益率10%超を目指して、次の戦略を推進する。

 1.Lumadaの強化: 日立の技術を集め「協創の森」を開設し、社内外のアイデアの実現に取り組み、資金面ではベンチャーファンド設立。

 2.経営基盤の強化: 生産システム高度化、業務の最適化、品質保証などでLumadaを中核とするデジタル変革の推進。

 3.重点事業領域の設定: インダストリー、ITを中心として、モビリティ、ライフ、エネルギーの5分野を重点領域として重点投資。

 ・インダストリー: 生産、サービスの効率化で安心な上下水道システム提供。
 ・IT: 高度な金融、社会サービスの提供でイノベーション加速。

 GAFAなど巨大IT大手に対抗して、現場での協創により価値向上を目指す日立の動きを見守りたい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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