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乳幼児期のバイリンガル教育、進む研究 横国大とマテル、知育玩具で共同研究

2020年2月17日 17:08

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フィッシャープライスのバイリンガル知育玩具「バイリンガル・わくわくピアノ」。(写真:マテル・インターナショナル発表資料より)

フィッシャープライスのバイリンガル知育玩具「バイリンガル・わくわくピアノ」。(写真:マテル・インターナショナル発表資料より)[写真拡大]

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 乳幼児に日本語と英語を並行して教えるバイリンガル教育に関しては、「日本語がおかしくならないか」、「どのような効果があるのか」といった疑問が多い。

【こちらも】グローバル化に対応した子供の習い事に英語は有効か?

 一方グローバル化で、日本人の親の子どもでも乳幼児期から英語にふれる機会が増大している。また2020年4月からは、小学校での英語教育が本格的にスタートするため、幼児英語教育への関心も高まっている。玩具メーカーもこういった変化に敏感に反応せずにはいられない。

 乳幼児期のバイリンガル教育に対する最近の研究と、玩具メーカーの動向を見てみたい。

■乳幼児期のバイリンガル教育は、日本語の発達をさまたげない

 「幼い子どもたちは、聞く原語を区別することができる。混同したりしない」と話すのは、横浜国立大学大学院のアレクサンダー・マッコーレー教授。日本におけるバイリンガル教育の事例研究をいくつも発表しているマッコーレー教授は、「日本語・英語の実践的なバイリングアル育成」の研究に深い関心を持つ。

 ではメディアに散見する、「乳幼児期のバイリンガル教育は日本語の発達を遅らせる」という説に根拠はあるのか。ワールド・ファミリー バイリンガル サイエンス研究所の佐藤有里氏は自身の論文の中で、こういった見解は「学術的な信頼性がない」と否定する。

 佐藤氏が一昨年末に発表した論文によれば、バイリンガル否定論は1920年代から1960年代にかけて横行した、偏見と未熟な研究手法に基づいた学説だという。佐藤氏によれば、バイリンガル教育に対する考え方は1970年代を境に変化した。さらに2000年代以降、バイリンガルの肯定的な側面を指摘する研究が増えているという。

■乳幼児期のバイリンガル教育の効果

 では逆に乳幼児期のバイリンガル教育は、英語力以外の知能の発達に、よい影響を及ぼすだろうか。

 前出のマッコーレー教授は、「2カ国語が話される家庭で育つ3歳以下の幼児は、2つの言語で親と遊んで会話を交流するため、記憶力と推論力の両面で優位に立つことが研究で明らかにされて」いると述べる。

 確かに最近になり、日本語が母語でも早期から英語を学習する幼児は、語学力のみならずさまざまな認知能力においても優位である、という研究が発表されている。たとえば昨年発表された、日英バイリンガル幼稚園の調査でも、他者理解や複雑な選択問題の解決に英語力が関連していることが明らかにされている。

■フィッシャープライスと横浜国立大学、共同研究を開始

 こういった乳幼児期のバイリンガル教育に対する考え方の変化に敏感に反応しているのが、玩具メーカーだ。国内ではタカラトミーが日本語と英語をしゃべる玩具を積極的に販売している。

 バービー人形などで有名な国際的玩具大手のマテル・インターナショナルも負けてはいない。同社は傘下にベビー・プリスクール玩具ブランドとして今年90周年を迎えるブランド「フィッシャープライス」を保有している。特に「スマートステージ」シリーズなどで、日本語と英語を歌ったりしゃべったりする椅子などの知育玩具を続々発売している。

 さらにマテルは、フィッシャープライスのバイリンガル知育玩具を教材として活用し、乳幼児期におけるバイリンガル教育の研究にも積極的に乗り出した。2月4日、横浜国立大学のマッコーレー教授と共同で、乳幼児期におけるバイリンガル教育の研究を開始すると発表した。

 今回の共同研究では、特に親子のコミュニケーションや、家庭の中でも実施できる早期バイリンガル教育に焦点があてられる。普段の育児の中にバイリンガル教育を浸透させていくことがマテルのねらいだろう。

 小さな子どもを持つ親は、絵本や玩具に英語を取り入れることを積極的に考えてはどうだろうか。子どもとのふれあいが、自身の英語力アップにもつながるかもしれない。(記事:ベルリン・リポート・記事一覧を見る

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