Google、ChromeでUser Agent文字列を凍結する計画

2020年1月18日 17:19

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記事提供元:スラド

 headless曰く、

 GoogleがChromeブラウザーでUser Agent文字列(UA)の凍結を計画しているそうだ(GoogleグループChrome Platform StatusWindows Central)。

 WebブラウザーのUAは「Mozilla/5.0」「KHTML」「like Gecko」といった現在では特に意味のない情報が含まれる一方、ブラウザーバージョンやOSバージョンなどフィンガープリンティングに使われる可能性のある情報も含まれる。モバイル版ChromeではOSビルド番号も含まれていたが、iOS版ではChrome 69、Android版ではChrome 70で削除されている。また、Googleのサービスを含めUAによってブロックされたり、正常に表示されなかったりすることもある。そのため、VivaldiはChromeと同じUAに切り替えており、Chromiumベースの新Microsoft Edgeは接続先に応じてUAを切り替えて別のブラウザに偽装している。

 UAの凍結は過去にSafariチームが試みているが、UAに応じたコンテンツのネゴシエーションに代わる方法がなく、一部の変更を取り消したという。Googleでは現在W3Cに提案しているUser-Agent Client Hints(UA-CH)がUA文字列の代替になると考えているそうだ。ChromeのUA凍結計画ではChrome 81で「navigator.userAgent」を非推奨とし、WebサイトがJavaScriptでUAを取得しようとするとコンソールに警告を出力する。Chrome 83ではWebブラウザのバージョンを凍結し、OSバージョンを統合する。9月中旬に安定版リリース予定のChrome 85ではデスクトップOSを示す文字列をデスクトップ版Webブラウザを示す共通のものにし、モバイルOS/デバイスを示す文字列は画面解像度ごとに共通化するとのこと。

 UA凍結について、Safariは上述の通り既に実施しているが、MicrosoftMozillaも支持しているそうだ。ただし、MozillaではFirefoxへのUA-CH実装に消極的なようだ。

 昨年Googleは「Privacy Sandbox」の構想を発表した際、サードパーティーのトラッキングcookieをブロックするとフィンガープリンティングなど不透明な手法の利用が進んでプライバシーがかえって低下すると述べていた。また、先日Chromeでのサードパーティーcookie廃止計画を発表した際にも、同様の説明を繰り返している。

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