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ソニーがイメージするクルマの理想形! プロトタイプ発表で、業界騒然! (上)
「VISION-S PROTOTYPE(ビジョン・エス・プロトタイプ)」(画像: ソニーの発表資料より)[写真拡大]
ソニーは米ラスベガスで1月7日から10日まで開催されたCESで、独自開発のクルマをお披露目した。
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CESはコンシューマー・エレクトロニクス・ショーという正式名称の略語で、国際的な家電見本市として1967年にスタートしたイベントだが、自動車のEV化が急速に進展している近年は家電ショーの枠組みを超えて、自動車メーカーが大きなブースを構えて最新技術を発表する場としての存在感を高めている。昨年4日間に渡って開催されたCESへの出展社は約4500社を数え、来場者も約17万を超えていた。
2018年には、トヨタの豊田章男社長がプレゼンを行い、モビリティサービスの専用EVとして、自動運転技術を盛り込んだ「e-Palette Concept」を発表している。e-Palette Conceptは東京2020オリンピック・パラリンピック仕様車として、2019年の東京モーターショーに出展されるなど、着々と進化中だ。
ソニーが自動車業界の度肝を抜いたのは、車体サイズが全長4895mm、全幅1900mm、全高1450mmの「VISION-S PROTOTYPE(ビジョン・エス・プロトタイプ)」を発表したことだ。この車体サイズは、日産のスカイライン(全長4810mm、全幅1820mm、全高1440mm)と比較すると概ねを全体的に一回り大きくしたサイズと実感できるだろう。
サイズの面でスカイラインと際立った違いはホイールベースにある。スカイラインのそれが2850mmなのに対して、VISION-S PROTOTYPEのホイールベースは3000mmもある。
ホイールベースを長めにとった理由が操縦安定性と居住性を確保するためだったのか、VISION-S CONCEPTのために開発されたEVプラットフォームがセダン、SUV、MPV等々のさまざな車型に発展可能という汎用性の高さにあるのかは、解釈の分かれるところかも知れない。
駆動方式は前後に200kW(272ps)モーターを搭載し、4つのタイヤ全てを駆動するAWDだ。
目玉はなんと言っても、ソニーの誇るイメージ・センシング(車両周囲の状況を認識するテクノロジー)技術に武装された車体と言える。走行中のクルマの全方位(360度)を常に監視して、危険回避行動をいち早く行うための、「Safety Cocoon(セーフティコクーン)」と称するイメージング・センシングシステムだ。
ソニーは車載向けに開発したCMOSセンサー(Complementary Metal Oxide Semiconductor センサー)など、合計33個のセンサーを車体を取り囲むように配置して、OVAL(楕円形)SENSINGを可能にした。内訳はIMX390×7個、IMX456×5個、Inner電子ミラーカメラ×1個、超音波センサー(Ultrasonicc)×12個、レーダー×5個、LiDAR×3個だ。
イメージセンサー、超音波センサー、ライダーなど固有の特性を持ったセンサー群がクルマの全方位(360度)を常時監視して、安全で正確な運転を支援し、将来は”特定の場所において全ての運転操作を完全に自動化”するレベル4以上の、より高度な自動運転技術を目指している。
車体のデザインはソニーのデザイン部門であるSony Designによるもので、その基本図面を基に海外のパートナーの協力を得て、世界に1台のコンセプトカーに仕上げた。
既にクルマとしての外観を備えているが現在は試作車の段階にあり、安全基準の一部法規に適合していないため、ナンバープレートを取得することはできない。今後は日本、米国、欧州でナンバープレートを取得し、実際に公道を走行して新たな知見を積み上げ、より大きなステップを踏む予定だ。
衝突時の安全性に関しては、各国での衝突安全テストにおいてトップクラスのスコア取得を目指して設計されているという。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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