【系列は崩壊するのか?(3/6)】下請け(系列)制度は日本独自のもの

2020年1月1日 09:21

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■下請け(系列)制度は日本独自のもの

 近年では「系列は足手まとい」との理論が正面から主張されるようになってきたが、真に「下請けはメリットがない」のであろうか?EVに置き換わる流れを「疑わないのか?」との疑問を一時棚上げして考えてみる。

【前回は】【系列は崩壊するのか?(2/6)】ハードからソフトへ EV化がCASEの戦場へ誘う

 EV化が進めば、エンジンやミッションを始めとして多くの精密部品が不要となることは事実だ。そしてエンジンはモーターに替わり、ガソリンがバッテリーになる変化が起きる。

 ここで問題となるのは、EV化によって消滅する部品サプライヤーが不要となることだ。それはエンジン技術が必要なくなることであり、確かに大きな変化である。

 しかしそれが、「下請け体制は必要ない」とする動きに繋がるのであろうか?これは直結していないことが明白だ。見極めるべきは「価格はどちらが安いか?」なのだ。

 つまり、見逃してはならないのは「資金効率」はどちらが有利かという視点であって、すなわち「生産システム」の効率を知ることから始めなければならないことを示している。多くの自動車ジャーナリスト、経済専門家の苦手とする領域なのだ。「ほとんど素人」と言うべきレベルで議論が進んでいる。

 「下請け体制」を真に語れるジャーナリストを私は知らない。そこで、「下請け」とはどのような立場なのかから入っていこう。

 まず「下請け」の仕事とは、どの様な範疇であるのか?であるが、製造業で言えば、「ラインを持たないレベルまでの製造」と言えるかもしれない。ラインを持っているとOEMが思い浮かぶが、それでも設計を行っていない場合もあるため、区別は判然とはしない。「製品企画をしていない」とでも言うべきなのであろうか?

 株式所有の関係を持っていない場合も多い。業務提携とも区別は難しい。サプライヤーと言われるメーカーでも1社との取引が大多数と見られる場合には、下請けと言えるかもしれない。きわめてあいまいだ。

 「下請け」の区別にこれ以上紙面を割くのは無駄である。この区別は「日本独特のもの」と言えるのであり、「グローバル発注」と比較するものではなく、システムとして捉えるほうがメリットを見逃さないことに繋がるであろう。

■要点は「資金効率」:「総資金量」の削減

 重要な点は「資金効率」であり、「総資金量」が問題であるのだ。購入した部品の値段が安くても、購入から組み立てて販売するまでのリードタイムが長いと資金が寝ることとなる。

 またロット発注であると、在庫場所・設備・在庫管理システム運用者の配置など予期しない膨大なコストや資金が必要となる。これが「ジャストインタイム」を阻害する要因だ。この点については、系列(下請け)がかなりの貢献を出来る体制となっている。すると、どちらが有利であるのかが判然としないのである。

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