大気汚染がうつに関係しているという研究結果

2019年12月25日 21:45

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記事提供元:スラド

 Anonymous Coward曰く、

 大気汚染のひどい地域に住む人はうつ病や自殺率が高いという研究結果が発表された。同様の研究は以前からあったが、今回のものは「Environmental Health Perspectives」に掲載されたもので、厳格な品質基準を用いて、2017年までに公​​開された16か国からの研究データをもとに作られたという。この研究では、世界中の大気汚染をEUの法律基準にまで下げることで、何百万人もの人々がうつ状態になることを防げることを示唆している。

 分析されたデータによれば、「PM2.5」などと呼ばれている大気汚染粒子のレベルが1立方メートルあたり10マイクログラム増加すると、うつ病になるリスクが10%高くなるという。インドのデリーは1立方メートルあたり114マイクログラムと非常に高く、カナダのオタワは1立方メートルあたり6マイクログラムほどだった。英国の都市のPM2.5の平均レベルは1立方メートルあたり13マイクログラムだった。研究者は、これを世界保健機関(WHO)が推奨する1立方メートルあたり10マイクログラムまで下げると、都市居住者のうつ病を約2.5%減らすことができると推定している。

 大気汚染粒子は車両や家庭、産業で化石燃料を燃焼させることによって生成される。汚れた空気によって運ばれた微粒子が血流と鼻の両方を介して脳に到達する可能性があり、これが炎症の増加、神経細胞の損傷、ストレスホルモン産生の変化に関係しているという。研究者らは、この研究がWHOの空気汚染における「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」に取り組むきっかけとなるだろうとしている(GuardianSlashdot)。

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