サスクワァッチファブリックス、2020年春夏メンズコレクション発表

　サスクワァッチファブリックス(Sasquatchfabrix.)は、2020年春夏コレクションを発表した。

■バランス感覚を試す“兼ね合い”

　2020年春夏のテーマは“かねあい”。ショルダーのラインを誇張することで、左右の意識を強調するシルエットや、あえて空洞を開けるようにして曲線的にフロントを切り取ったジャケットなど、ギリギリのバランス感覚を試すようなフォルムに挑戦することで、“均衡を保つこと”そのものを象徴している。

■均衡を取る形

　例えば、透湿防水素材“ブリザテック”で仕立てた裃、(かみしも)の肩衣を彷彿させるベストや、袖の上から布地を重ね、東洋の民族衣装のように仕上げたジャケットは、肩より生地が張り出したフォルムが印象的。身体の中心を軸にとって左右のバランスをとる様は、ヤジロベエのようでもある。

　着物の布の重なりを思わせるラップショートパンツに組み合わせた、和風のシルエットのジャケットは、よく見るとアクティブなナイロン製。合わせにはスナップボタンを採用し、裾にはドローコードが配されているなど、意外性のあるディテールが施されている。また、トップスのショルダーにボリュームを持たせた分、ボトムスをすっきりさせることでシルエットに緩急をつけた。

■オリエンタルな佇まい

　襟が大きく開くスキッパーシャツや、紐を結んで前を留めるボレロ、袴のような広がりと縦長のシルエットを併せ持ったワイドパンツなど、和服そのものの形をしているわけではないにも関わらず、そこはかとなくオリエンタルな空気感を漂わせたピースも散見された。取り外し可能なケープ付きナイロンコートは、生地の分量感によって羽織のような佇まいを見せる。

■“糊流し”に見る色と色の兼ね合い

　形だけでなく、“色と色”のかねあいも表現。目を引くのは、京都の伝統技法“糊流し染”を駆使したシャツやパンツだ。黄色や黒、緑といった色彩が濃淡を描きながら入り混じる様子は、万華鏡のように華やかで、色同士が破裂しているようにも見える。また、ケミカルでヴィヴィッドな発色の、ピンクとブラックのタイダイジャケットやシャツ、パンツも、アイキャッチなウェア。ボルドーを基調としたルックに、鮮やかなアクセントをプラスする。

■華やかなドラゴン柄

　華やかなドラゴンモチーフの生地にも注目。光沢感のあるドラゴンジャカードのセットアップは、深みのあるボルドーの色彩がブラックと入り混じってシックな雰囲気を醸し出す。遠目には金色のドットが並んでいるように見えるテーラードカラーのシャツは、よく見ると小さなドラゴン柄で構成されていることがわかる。研ぎ澄まされた雰囲気の中に、ささやかな遊び心を添えた。