豊田通商、アフリカ事業と次世代モビリティ戦略推進で純利益1700億円へ

2019年12月22日 20:29

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 豊田通商は16日、カンボジアにおいて日本企業の進出支援を強化するため、第2期レンタル工場の建設を開始すると発表した。テクノパーク事業を通じて日系企業のカンボジア進出を支援し、2020年8月の営業開始から、レンタル工場の運営・管理をはじめ、人材派遣・教育サービスや事務系サービス、物流・通関サービスなどまで、幅広い支援サービスを提供する。

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 豊田通商は、トヨタグループ唯一の商社として1948年に設立され、トヨタのグローバル化に伴い1980年代から海外進出を強化、自動車関連事業を主軸に成長してきた。

 その後自動車以外の分野への事業拡大を目指して、2000年に加商、2006年に多彩な事業基盤を持つトーメンと合併し、インフラ分野や化学品、食料分野などへ進出した。

 2019年3月期売上総利益6,384億円。事業別構成比は多彩となっており、多い順に以下の通り。

 仏最大の商社CFAOを子会社化し、アフリカ市場で自動車、医薬品、ビールなどの生産販売、スーパー経営などを行う「アフリカ」(21.4%)、樹脂、ゴム、包装材料などの化学品、エレクトロニクス部品、ソフトウエアを扱う「化学品・エレクトロニクス」(16.7%)、金属の売買・加工・物流・保管機能を行う「金属」(15.6%)、自動車生産用機械、電力、空港・港湾などインフラ構築の「機械・エネルギー・プラントプロジェクト」(14.0%)、自動車輸出、中古車、販売金融を行う「自動車」(13.8%)、多数のメーカーを結んで部品物流サービスを提供する「グローバル部品・ロジスティクス」(11.7%)、飼料用穀物、加工食品、食品サービス、保険代理店、アパレル業、企業の海外進出を支援する建設業などの「食料・生活産業」(6.8%)。

 多彩な事業を展開する豊田通商の動きを見ていこう。

■前期(2019年3月期)実績と今期見通し

 前期収益は6兆7627億円(前年比4.2%増)、売上総利益は6,384億円(同5.3%増)、純利益は前年よりも24億円増で3期連続過去最高となる1,326億円(同1.8%増)であった。

 純利益増加の事業別の主な要因としては、前年のれん減損の反動でアフリカが133億円、前期関税影響の反動で金属が75億円、海外自動車販売増の自動車が44億円、自動車部品の取扱増によりグローバル・部品・ロジスティクスが9億円の増益だった。一方で、貸倒金繰入増と電力事業の投資損益悪化により機械・エネルギー・プラントプロジェクトで133億円、前期子会社売却益発生の反動により学品・エレクトロニクスで106億円の減益が発生した。

 今期売上総利益は6,630億円(同3.9%増)、純利益は1,500億円(同13.1%増)を見込んでいる。

■中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)による推進戦略

 2022年3月期は過去最高の純利益1,700億円(対前期比28.2%増)を目指して、次の戦略を推進する。

1. アフリカ事業の推進
 ・商品ラインアップの強化: インドのスズキOEMを活用した小型車強化とノックダウン事業の推進。
 ・供給ネットワークの最適化: 完成車、部品供給、販売のネットワーク効率化。
 ・自動車の顧客向けサービス充実: 取次店、中古業者、ユーザー向けサービス体制の強化支援。

2. 次世代モビリティ戦略の推進
 ・電動化加速への対応: 新技術に対応して素材置換と中国市場の取組強化、新たな事業機会の創出。

3. グローバル化とデジタル変革
 ・グローバル化: アフリカ、中国、インドでの取組強化。
 ・デジタル変革: 生産性向上と新規事業の創出。

 モビリティ分野で新たな価値創出を目指す豊田通商の動きを見守りたい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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