3メガバンクを株式投資の対象とする場合の一考察

2019年12月2日 06:11

印刷

 ソフトバンクグループ(SBG)が9月中間期で15年ぶりの赤字に転落した。米シェアオフィス大手ウィーワーク(運営会社:ウィーカンパニー)の乱脈経営に伴う、保有株式の評価額の急減が主因。

【こちらも】ケインズ博士とは異なる「株式投資=美人投票」論

 SBGはウィーカンパニーに既に1兆円水準を投じており、立て直しは喫緊・不可欠な課題。資金が必要。主力のみずほフィナンシャルグループ(みずほ)をはじめ、三菱UFJ・フィナンシャルグループ(三菱UFJ)、三井住友フィナンシャルグループ(三井住友)に計3000億円規模の追加融資を要請。「みずほは前向き姿勢。他行も既存の債権を勘案すると応じざるをえないだろう」と伝えられている。

 そんな報を伝える複数のメディアに接しているうちに、フッと思った。「地銀の凋落/株価下落」が現実化している中、3メガ銀行は株式投資の対象としてどうなのか。物書き業の師匠で今年6月他界した亀岡大郎は「100円台半ばのみずほを買うべき。じっと持つべき。みずほが破綻する時は日本経済も破綻する時だから」繰り返していた。

 あの世で出会った時「お前も分かってないな」と叱られるかもしれない。が、私は3メガのうち1行に資金を投じるとなれば、みずほはまず外す。17年3月期の初値(167円)で買い本校作成時点(以下同)まで保有していると、株価パフォーマンスは1%余。IFIS目標平均株価は176円。算出を担う14人中11人が「中立姿勢」で「妥当水準」という判断。

 では、他の2行はどうか。

★三菱UFJの同期間の株価上昇率は約10%。IFIS目標平均株価は657円と時価より15%近く上値。アナリスト13人中10人が「強気」で「割安」との判断。

★三井住友の場合は16%の株価パフォーマンスを残しており、IFIS目標平均株価は4744円と時価に比べ20%近く上値。14人中11人のアナリストが「強気」派に属しており、「割安」の判断を示している。

 私は9月3日の企業・産業欄に「三井住友銀行のタマネギの味はどうか!?」という原稿を投稿した。三井住友銀行グループが秋田県大潟村あきたこまち生産者協会と新会社(農地所有適格法人)を設立し「農業」に本格的に参入した、という内容だ。「超低金利、かつ需要減のいまだからこそ先々の融資先を自らの手で開拓しておくのが大事」という役員の声も伝えた。

 もちろん「だから」というわけではない。だが三井住友の株価パフォーマンスに触れた時、「こうした姿勢を株価も反映するはず」と改めて思った。ちなみに私のメインバンクは三井住友ではないことを、付け加えておく。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事