政府、国産車に自動ブレーキ義務化へ 21年度にも

2019年11月30日 15:26

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交通事故減少には自動ブレーキの浸透が必要不可欠だろう (c) 123rf

交通事故減少には自動ブレーキの浸透が必要不可欠だろう (c) 123rf[写真拡大]

 政府が、早ければ2021年度より、国産の新型乗用車に自動ブレーキ搭載を義務付ける法案の最終調整段階に入ったという。朝日新聞などが報じている。2020年1月より発効予定の国際基準に合わせ、安全装備をめぐる新車規則を従来より厳格化する方針だ。すでに国内の各主要メーカーとの調整も進めており、関係省庁との協議も順調にクリアすれば年内に正式決定が下るという。

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 政府の方針は、近年相次いで報じられる高齢者を中心としたアクセルとブレーキの踏み間違い問題が、背景とされる。踏み間違いにより車が建物に突入したり、歩道にいた通行人をはねたりするなどで、全国で多くの被害が発生しており、対策が急務となっていた。このような交通事故続出を政府が重く見たことから、将来的な新型車への自動ブレーキ搭載義務につながったと考えられる。

 近年日本の各自動車メーカーでは、「ホンダセンシング」やスバル「アイサイト」など、自動ブレーキ機能が伴った新車が発売されている。しかし該当する機能は標準グレードでは装備できなかったり、用意されていたとしてもオプションで追加しなければならなかったりするケースもあった。オプション追加や安全装備付きのグレードの注文には割高な自動車の購入代金を求められ、諦めてしまう消費者もいただろう。しかし義務化がされれば、少なくとも新車では安全装備のない車で妥協する心配もしなくて済むだろう。

 政府が義務化する自動ブレーキには、交通事故抑制以外にも複数のメリットがある。任意保険料の安さだ。安全装備を持たない車は事故のリスクが高いと判定され、保険料が割高になる傾向がある。しかし各メーカーの安全運転支援機能を備えた車であれば、リスクは低いとして低額の保険料で済む場合が多い。

 自動ブレーキが義務化されれば、新車価格の相場が上がる懸念もあるが、保険料は総じて安くなると考えられる。今後の自動車市場では、安全性とお得感の両立がテーマとなるだろう。

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