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中小企業の事業承継でM&Aが増加 その理由とは
近年、中小企業における事業承継の手法としてM&Aが増加している。その理由は、M&Aが、中小企業が直面する課題の解決手段として期待されているからだ。
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我が国の中小企業は、経営者の高齢化と深刻な後継者不足という二つの深刻な課題に直面していることから、企業数の減少が止まらない。総務省の統計によれば、日本の中小企業の数は、1999年から2014年の間に100万以上減少した。また、2020年には、高齢化の進展から日本の中小企業経営者が数十万人も引退すると言われている。
東京商工リサーチの調査によると、2013年から2017年の間、企業の「倒産」と「休廃業・解散」の合計件数は、2013年は4万5,655件、2017年は4万9,314件と着実に増加しており、中小企業の減少傾向は今後も続いていくものと予想されている。
ただし、最近の傾向として、企業の倒産件数は減少傾向にあるものの、休廃業・解散件数が増加している。注目すべきは、廃業予定の中小企業の4割が、今後10年間の事業の将来性について現状維持か成長の見込みがあると回答している点だ。このことは、中小企業の休廃業の理由が業績悪化ではなく、本当の理由はほかにあることを示している。それこそ、経営者の高齢化と後継者不足なのだ。
こうした中小企業の危機的状況を打破すべく、政府はさまざまな手を打っている。2008年5月、中小企業の事業承継を総合的に支援する「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継円滑化法)」を制定した。これにより、中小企業の事業承継資金等を確保するための金融支援や、事業承継に伴う税負担の軽減(事業承継税制)策を導入した。これに併せて、国の事業引継ぎ支援センターが全国各所に設置されるようになり、さらに、中小企業の事業をマッチングさせる民間事業者も増え始めている。
こうした中、事業承継スキームとして増加しているのがM&Aなのである。「合併と買収」を意味するM&A(Mergers & Acquisitions)には、株式譲渡、事業譲渡、会社分割、合併などさまざまなスキームがある。
これらのスキームに共通しているのは、現在の事業に関わる資産、技術、ノウハウ、従業員をセットにして第三者の手に渡せることだ。つまり、中小企業の創業者にとって手塩にかけて育てた我が子同然の事業を、傷つけることなく、そのまま承継者に託することができる。
従来、M&Aは、主に新規事業の獲得や経営再建の手段として利用されてきた。それが現在、中小企業経営者の熱い想いを次代につなげる事業承継の手段として活用されている。これからもM&Aは、現在と将来をつなぐ手段として、多くの中小企業の存続に貢献していくであろう。
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