関連記事
藻類と共生し光合成から栄養を得る動物プランクトン 東大の研究
研究で用いた浮遊性有孔虫30種。スケールバーは200μm。(画像:東京大学発表資料より)[写真拡大]
浮遊性有孔虫という単細胞の動物プランクトンがいる。藻類を細胞内に共生させ光合成から栄養を得る相利共生関係を形成するとされていたのだが、東京大学の研究グループがそれについて詳しい研究を行った。研究に参加しているのは、東京大学大気海洋研究所の高木悠花日本学術振興会特別研究員と、齊藤宏明教授ら。
【こちらも】藻類による脂質生産の制御因子を特定 京大などの研究
浮遊性有孔虫は50種ほどの存在が確認されているが、そのほとんどの種が飼育困難であるため、生態については明らかになっていない部分が多い。また、現生種のうちで光共生を行うものはどれとどれなのか、ということも分かっていなかった。
そこで研究グループは、採取直後の生きた浮遊性有孔虫に対して用いることのできる、アクティブ蛍光法という葉緑素の活性などを調べる非破壊的探査法を研究に用いることにした。
7回に渡る研究航海に参加して、大西洋の西部と大西洋の亜熱帯地域で、30種の浮遊性有孔虫を採取した。これは代表的な種についてはほぼカバーできるものである。
そしてアクティブ蛍光法の一種である高速フラッシュ励起蛍光法によって1,266の個体を解析したところ、19の種において光共生が確認された。その中には従来光共生を行うとは認識されていなかったものもあった。
また、16の種については、体の大きさと葉緑素の量に正の相関がみられたことから、宿主の成長に従って共生する藻を増やし、恒常的な共生を行っていると推測された。
さらに、光合成の効率や活性を比較してみたところ、宿主の浮遊性有孔虫の種類によるのではなく、共生相手の藻類の種類に依存するらしいことも分かった。
研究の詳細は、Biogeosciencesに掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
スポンサードリンク
関連キーワード