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さよなら、ジャガー伝統のXJ・V8最終記念! スーパーチャージャー限定20台
ジャガーの長い歴史の中で、フラッグシップXJのV8エンジン仕様が終わろうとしている。次期型はEVになる予定のため、今回発売された「XJR575“V8”ファイナルエディション」の限定20台で最後となる。
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「ダブル6(シックス)」の名称で知られるV12気筒エンジンを筆頭に、ジャガーは高級車の地位を築いてきた。そのシンボルが長いことXJシリーズだった。セダンの基本形となったXJのシルエットは「ロングノーズ・ロングテール」で、現在のプレミアムカーのシルエット「ロングノーズ・ショートデッキ」とは違っていた。リアオーバーハングが大きいのだ。結果的に、トランク容量が巨大な車が出来上がっていた。
もう一つ象徴的だったのは、「全高が低い」ことだ。現代のSUVのウエストラインの高いデザインとは逆に、ウエストラインも低く、全高も低いのが標準だった。乗車するときには「潜り込む」ほどではないが、現代となっては低いヒップポイントが特徴だった。筆者も長い間、XJの世話になったのだが、手を伸ばせば屋根のどこにでも手が届くことが気に入っていた。
そのジャガーのロングノーズは直6エンジンのためではなく、V12エンジン搭載のシンボルだった。前後のオーバーハングの長さもあこがれの対象で、そのようなクルマが走れるのは国の道路の「路面が良い」証明であり、特に発達途中だった日本の国土ではそれはステイタスシンボルだったのだ。
さらに特徴としては、エンジンがスーパーチャージャーで過給されていることだ。今回発表された特別仕様車「XJR575“V8”ファイナルエディション」でも、最高出力575PS、最大トルク700N・mの5リッターV8スーパーチャージャー過給エンジンとなっている。現代のターボチャージャーとの違いとエピソードを簡単にご紹介しておくこととする。
ターボチャージャーは排気ガスで過給タービンを回して過給するのだが、スーパーチャージャーはメカニカルに吸気タービンを回すもので、エンジン出力を消費することとなり、ターボチャージャーよりエンジン効率を低くしてしまう。その代わり「ターボラグ」は生じないので、レスポンスは良いとされてきた。
その昔、スーパーチャージャーは「ゼロ戦」などにも装備されていたが、アメリカ軍はボーイングB29などにターボチャージャー装備して、特に高空での過給効率を上げ、空気が薄くなる高空でのエンジン出力ダウンを防いだのだ。それで、日本の戦闘機を寄せ付けなかった。
日本も急ぎ開発していたのだが、高温にさらされるターボチャージャーは素材の開発から行わなければならず、終戦までに間に合わなかった。ターボチャージャーは、日本が大変悔しい思いを残した技術だったのだ。
ジャガーは、半世紀も前からスーパーチャージャーを装備してスポーツタイプを作っており、今回もXJの最終バージョンで同じようにしてきたことは、懐かしくも感じる。現在ではターボラグもほとんど解消されているのだから、ターボチャージャーでも良かったのではないかと思われるくらいだ。
次期モデルはEVとなるようで、「Jaguar I-PACE」SUVの成功に見られるがごとく、シンボリックカーXJもとうとうEVの時代だ。新しいジャガーの伝統が作られることを期待したい。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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