アクアマリンふくしま、新種の深海魚「ユウレイコンニャクウオ」発見

2019年10月11日 11:57

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吸盤で張り付くユウレイコンニャクウオ。(画像:ふくしま海洋科学館発表資料より)

吸盤で張り付くユウレイコンニャクウオ。(画像:ふくしま海洋科学館発表資料より)[写真拡大]

 アクアマリンふくしまは10日、同館が採取した深海魚「ユウレイコンニャクウオ」を新種として発表した。京都大学の甲斐嘉晃博士との共同研究によるもの。

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 なお、採取された個体はわずかに4個体であり、そして生存している個体はなく、現在のところ同館でも展示は行っていない。

 アクアマリンふくしまは、福島県いわき市小名浜に在する、東北地方では最大級の水族館である。正式名称はふくしま海洋科学館と言い、アクアマリンふくしまは愛称。2019年1月にも、飼育していたエビの中から新種を発見し、発表を行ったことがある。

 採取は2017年から2019年にかけ、北海道は知床・羅臼沖の水深500~1,080メートルの水域で、刺し網漁・エビ籠漁によって行われた。

 コンニャクウオの仲間は約150種が存在するが、このユウレイコンニャクウオは細長い指のように糸状に長く伸びた胸びれを持ち、ゆったりと泳いで餌を探す性質を持つ。コンニャクウオの中でも、このように長い胸びれを持つ種はほとんど他には存在しないという。

 コンニャクウオの仲間はカサゴ目のクサウオ科に属する。寒冷な海の深海を好み、太平洋・大西洋・北極海・南極海と分布域は全地球的であり、また深海魚ではあるが浅い沿岸の潮だまりから7,000メートル級の深海まで、広範な生息域を持つ。

 なお、ユウレイコンニャクウオという和名が与えられたのは、その胸びれを伸ばした姿が幽霊のようなイメージであったから、とのことである。学名はCareproctus longidigidusであり、その由来はラテン語の「longus(長い)」と、「digitus(指)」である。

 研究の詳細は、日本魚類学会の英文誌Ichthyological Researchに掲載されている。

 アクアマリンふくしまでは、今後同種の生体の展示を目指すとしている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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